北陸鉄道小松線は、北陸鉄道の中でもお荷物だったのか、ほとんど設備投資されておらず、車両もずっと雑多な小型車両ばかりが集結していましたが、晩年はまともなモハ3000形に統一されました。
1.日中昼寝をするモハ3000形 (小松:1985年9月)
小松線には5両のモハ3000形が在籍していましたが、日中は単行の1列車運用なので、残る4両は小松駅の構内で昼寝です。
2.モハ3002,3001 (小松:1985年9月)
この日はモハ3001が日中の運用に充当されていました。写真右側のモハ3001が止まっている場所が小松駅のホームで、その先の古そうな木造の建物が駅舎です。駅舎の向こう側が北陸本線の小松駅で、ほぼ直結していましたが、小松線は北陸本線と直角に発着していました。
3.検査中のモハ3003 (小松:1985年9月)
写真は検査中のモハ3003です。こんな小さな路線でも車両の検査入場があるので、どうしても5両は必要です。
4.唯一原型を留めたモハ3004(小松:1985年9月)
モハ3000形(注1)はもともと石川総線用に自社発注されたモハ1100形が前身です。その後、金石線に全車転属となり、1971年に全車小松線に移ってきました。
モハ3000形5両のうち、モハ3005は事故復旧車で他の4両とは異なり、北鉄スタイルの張り上げ屋根車体に更新されてしまいました。他の4両は車体更新を受けておらず、ほぼ原型を留めていましたが、その中でもモハ3004だけは前面窓のHゴム化を免れて、最も原型を保っていました。このモハ3004こそが本来の北鉄スタイルです。
(注1)モハ3000形の車歴
・北鉄モハ3000形(モハ3001~3005)←北鉄モハ1100形(モハ1101~1105):1949年日本鉄道自動車製
5.モハ3001の車内(小松:1985年9月)
モハ3001の車内は寒色系の渋い木造の内装を維持していました。床は勿論、腰掛の背ズリまで木製です。
しぶとく生き延びていた小松線も、いよいよ終焉が近づいていました。だから、これ以上は手を掛けずに現状を維持していたものと思われます。この翌年、1986年5月いっぱいで、57年の歴史に幕を閉じましたが、これが最初で最後の訪問となりました。