ローカル線の回顧録

1970年代後半から2000年頃までのローカル線の記録

第71話 1986年筑波 北海道の帰り道(その6)

寄り道の最後は筑波鉄道です。2年振りの筑波鉄道ですが、そろそろ廃止の噂が立っていました。(このブログの第55,56話をご参照下さい。)

相変わらず天気が悪く、筑波鉄道も走行写真を諦めて真鍋機関区に直行です。真鍋機関区は土浦の隣駅である新土浦の手前にあります。以前は、真鍋に駅が存在しましたが、旅客扱いはすぐ近くに新設した新土浦に移して、真鍋駅は入出庫の運転停車に特化されていました。新土浦までわずか1駅ですが、いい加減疲れていたので一区間乗車しました。

 

1.キハ461 (真鍋:1986年3月)

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 いきなり筑波鉄道“お宝”のキハ461です。しかし、ちょっと前に廃車になったばかりで、真鍋機関区の側線に留置されていました。この車両は言わずもがな記念物車両で、長らく真鍋に保管というか放置されていましたが、現在鉄道博物館で大切に保存されています。

 

2.キハ461 (真鍋:1986年3月)

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ところで、このキハ461(注1)は1972年に廃止された北陸鉄道能登線から、他の気動車と共にやって来ました。最初はキハ462という同形車も一緒でしたが、キハ462は一足早く、1981年に廃車されてしまいました。 そしてキハ461も廃車になったものの、オリジナルの元国鉄キハ41000形の原型を良く留めており、ついさっき鹿島鉄道で見てきたキハ410形とは比べ物にならない程の存在感でした。

(注1)キハ461の車歴:筑波キハ461←関東キハ461←北陸キハ5211←遠州キハ802←国鉄キハ048←国鉄キハ41307←国鉄キハ41207←国鉄キハ41056:1934年川崎車輌

キハ461も製造時はガソリン動車でした。戦時中は代燃化され天然ガス動車キハ41200形となり、戦後にディーゼル化されキハ41300形となりました。その後国鉄を廃車となり遠州鉄道に譲渡され、更に北陸鉄道能登線に転じ、北陸鉄道にてトルコン化されました。

 

3.キハ541 (真鍋:1986年3月)

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 キハ541も北陸鉄道能登線からやって来た車両ですが、こちらも昨年廃車となりました。2年前に訪問した際もすでに休車状態でしたが、そのまま廃車になったようです。真鍋は廃車の溜まり場と化していました。

 

4.キハ541 (真鍋:1986年3月)

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 キハ541は戦後製のバケットカーで、元は客車だったという珍品です。こういう変な車両も昭和とともに消えて行きました。

 

5.キクハ11 (真鍋:1986年3月)

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変な車両と言えば、このキクハ11(注2)もかなりなものです。ちなみにこの車両も既に廃車となっていました。

形式がキクハとなっていますが、その名の通り制御客車です。しかしその遍歴は紆余曲折でした。この車両は常総筑波鉄道の発注車ですが、製造時は客車として常総線に導入されました。もっとも、いずれは気動車化する前提で、このあたりの経緯はキハ541といっしょです。その後は1960年に計画通り気動車化されましたが、1970年にはエンジンを外されて今度は制御客車化され、1978年に筑波線に転じました。

(注2)筑波キクハ11←関東キクハ11←関東キハ511←常総筑波キハ511←常総筑波キサハ53←常総筑波ホハ1001:1957年日本車輌

 

6.キハ811 (真鍋:1986年3月)

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筑波鉄道には北海道の雄別鉄道からやって来た気動車が5両も在籍していました。導入が1970年で車齢も比較的新しかったので、面倒な改造をせずに筑波線に充当されたものと思われますが、両運車のキハ811,812の2両は筑波線で使用され、片運車のキハ813だけは常総線で使用されました。筑波では片運車の使い勝手が悪かったのでしょうか?。ちなみにキハ813は常総線では珍しく、3ドア化されずステップ付きの2ドアで使用されました。 

 

7.キハ812、キハ761 (真鍋:1986年3月)

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キハ810形とキハ761形は、ともに雄別鉄道から来た車両ですが、キハ760は国鉄キハ21形を意識した車両で、製造時期もメーカもキハ21と同じです。

キハ810(注3)形はキハ760形を改良した増備車ですが、津軽鉄道のキハ24000形に近い車両です。このあたりの事情は共に新潟鐵工製であったことに起因しています。ところで、キハ812はこの年に事故に遭い、廃止目前にして廃車となります。

(注3)キハ810形の車歴:筑波キハ811,812←関東キハ811,812←雄別キハ104,105:1962年新潟鐵工所

 

さて、寄り道で朝から茨城交通鹿島鉄道筑波鉄道と早回りをしましたが、さすがに夜行列車の疲れもあり、真鍋で引き上げることにしました。この日は天気が悪かったので、後日走行写真を撮るため再訪問となりました。