キハ800形は、常総筑波鉄道の優雅な時代を象徴する車両でした。
しかし、常総線はのんびりしたことは言ってられないほどの大量輸送の時代に突入し、中古車は徹底して“関東流の洗礼”を浴びて通勤気動車化されましたが、やがて本格的な通勤仕様の車両導入となります。
1.キハ803+キハ804 (水海道:1987年3月)
このキハ800形は関東鉄道最後のローカル線仕様の車両となりました。幸い、キハ500形同様、“関東流の洗礼”を浴びずにいましたが、やはり2ドア車は肩身が狭そうでした。
2.キハ801 (水海道:1987年3月)
ここに挙げたキハ800形は、車体広告のない「素のキハ800形」です。キハ500形に比べて大型の20m車なので、存在感があります。これが関東鉄道最後のロマンスカーでした。
3.キハ902+キハ901 (水海道:1987年1月)
そして、キハ800形の次に登場したのが自ら“関東流の洗礼”を浴びたような食パン気動車のキハ900形でした。この車両は一見して、国鉄のキハ35系(キハ36形)モドキですが相違点は、ドアは外吊りではなく戸袋付きの片引きで、側窓はバス窓タイプ、妻面にはアンチクライマ―が付き、台車は空気ばねです。この車両も日本車輌製ですが、キハ800形から一転して、どことなく戸惑った設計を感じます。
4.キハ902+キハ901 (水海道:1987年1月)
キハ900形は常総筑波時代の最後の新製車となりました。しかしながらこの前面は国鉄キハ35系に酷似していました。日車が地方私鉄の新車にこの顔を持ってきた背景には、地方私鉄向け標準型気動車の展開をあきらめた現実を感じます。もっとも、常総線は優雅な車両よりも機能的で大量輸送できる車両が欲しかったわけで、導入当時は国鉄のキハ35系モドキという存在が、いかにも合理的でちょうど良かったのかも知れません。
5.キハ902+キハ901 (水海道:1987年1月)
キハ900形(注1)は次世代の常総線車両を意識した2連で製造されました。しかし、この車両の増備車は意外にも登場しませんでした。
(注1)キハ900形の車歴
関東キハ901,902←常総筑波キハ901,902:1963年日本車輌製
6.キハ902+キハ901 (水海道:1987年1月)
常総線では異端的な存在だったキハ900形ですが、1990年代になると関東鉄道は国鉄清算事業団から大量のキハ35系を譲受して旧型気動車を一掃します。その頃になってキハ35系モドキのキハ900形は一挙に仲間が増えて、本物のキハ35系に紛れて活躍することになります。