ローカル線の回顧録

1970年代後半から2000年頃までのローカル線の記録

第194話 1986年富山地鉄 通勤列車は観光列車(その4)

1986年10月の富山地鉄の最終回です。

今回は全く興味がなかった市内線です。地鉄訪問の建前、お茶濁し程度ですがご紹介します。

 

1.デ7009 (南富山:1986年10月)

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 当時の市内線は徹底した車種統一で、すべてデ7000形(注1)に統一されていました。ご覧の通り、都電8000形モドキの面白くない車両です。昭和30年代の比較的新しい車両ですが、市内線の路線短縮により余剰車が発生し、すでに廃車が出ていました。なお、1984年から冷房化が始まっており、製造が新しい車両から徐々に冷房化されていました。

 

2.デ7012、デ7009 (南富山:1986年10月)

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 (注1)デ7000形の車歴

地鉄デ7007~デ7011:1958年日本車輌

地鉄デ7012~デ7015:1960年日本車輌

地鉄デ7016~デ7017:1961年日本車輌

地鉄デ7018~デ7023:1965年日本車輌製(1986年時点デ7020~デ7023は冷房車)

 

3.デ3533+デ3534 (南富山:1986年10月)

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 市内線に足を向けたのには理由がありました。それは、除雪用に残っていた単車のデ3530形(注2)を見るためでした。

南富山駅の側線にデ3533+デ3534が連結されて留置されていました。この車両はもともと市内線用に5両製造された珍しい戦後製の2軸車です。デ7000形の増備により現役を退き、1978年に除雪用に改造を受けて、側窓固定のこのスタイルとなりました。

 

4.デ3534 (南富山:1986年10月)

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(注2)デ3530形の車歴

地鉄デ3533、3534:1951年日本車輌製 

 

5.旧デキ6502(南富山:1986年10月)

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そしてもう1両、南富山車庫裏に鎮座していたのが既に車籍がない旧デキ6502(注3)です。

この車両は、南富山車庫構内の除雪用に残された車両ですが、元は富山県庄川電源開発の資材輸送用に庄川水力電気が導入した4両の凸型25t電気機関車の成れの果てです。ボンネットタイプの凸型車体なのに、貫通扉を有し独特の風貌をしており、この時点でよく残っていたと感心します。

(注3)デキ6502の車歴

地鉄デキ6502←地鉄KEL10←越中KEL10←庄水3←庄水6:1925年川崎造船

 

6.架線検測車モテ10001 (稲荷町:1986年10月)

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最後は市内線の車両ではなく、本線の架線検測車です。このような車両を自前で持つということはそれなりに路線長が長いと言うことでしょうが、他のローカル私鉄どころか大手私鉄にもこの様な車両を保有しているところは多くありません。

ところでこの車両は元々旅客車のモハ7541を、1981年の廃車後に架線検測車に改造したものです。その後1986年に改造が行われてその際にモテ10001となりました。車号もあり自走しますが、あくまで事業用車だったので、車籍はなかったようです。

1986年10月の訪問ではまだ全車種を確認できず、全容把握は持ち越しとなりました。