ローカル線の回顧録

1970年代後半から2000年頃までのローカル線の記録

第199話 1987年筑波 寄せ集め気動車の楽園(その5)

筑波鉄道にはなぜか元雄別鉄道からやって来た道産子のキハ760形、キハ810形が集結していました。 

  これらデッキなしの車両は一見酷寒地仕様とは思えない普通の国鉄タイプの気動車でしたが、クロスシート車なので、一応観光路線である筑波線に投入されたものと思われます。

 

1.キハ762 (真鍋:1987年1月)

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キハ760形もキハ810形も新潟鐵工製の気動車です。製造が鹿島鉄道にいた湘南顔の気動車よりも少し後で、高度経済成長期を象徴するような貫通タイプとなったので、全く個性がありません。

 

2.キハ761 (真鍋:1987年1月)

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 筑波鉄道気動車は燃料補給のため、真鍋機関区に入庫しますが、その方法が面白かったのでご紹介します。

まず、入庫予定の土浦行営業車(上の写真のキハ761)が真鍋駅に到着します。ちなみに真鍋駅は客扱いをしない信号所なので運転停車です。

 

3.キハ761、キハ762 (真鍋:1987年1月)

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次に、入庫車と交換する列車(キハ762)を営業車(キハ761)の後方に配置します。

 

4.キハ761+キハ762 (真鍋:1987年1月)

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 ここで2両が連結されて、次の土浦駅に向かいます。

土浦駅では、営業車(キハ761)の乗客を降ろすと、キハ761は回送車となり乗客をのせず、乗客は営業車となったキハ762に乗車します。

列車は2連のまま土浦を出発し、真鍋で回送車(キハ761)を切り離し、キハ761は入庫となります。

この様に、真鍋~土浦間は回送車の連結運転を行っていたので、結構頻繁に2連が走り、時には3連、4連も走りました。 

 

5.キハ301 (真鍋:1987年1月)

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 筑波鉄道には国鉄から譲受したキハ30形が1両いました。この車両は1986年に入線したばかりのピカピカの新車?でしたが、増備ではなく事故廃車のキハ812の穴埋めだったようです。1986年といえばもう廃止も決まっていた頃であり、廃止までの一時しのぎと思いきや、廃止後はこの車両のみ関東鉄道常総線に転じます。

 

6.キハ301 (真鍋:1987年1月)

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 関東鉄道常総線では老朽化した旧型気動車の置き換えとして、後に国鉄清算事業団から多量のキハ30形、35形を購入しますが、奇遇にもこのキハ301がその第1号車となりました。筑波では一匹狼でしたが常総線ではその後大家族となったキハ300形の先駆けとして大活躍することになります。

さて、筑波鉄道の廃止は1987年3月末ですが、大学卒業を控えた私にとっても、3月末までの2カ月間が暇な学生身分として最後の猶予でした。この2か月間を少しでも有効に使うため最後の悪あがきが始まりました。