ローカル線の回顧録

1970年代後半から2000年頃までのローカル線の記録

第286話 1988年日鉄尻屋:断崖の鉱山軌道(その3)

尻屋鉱業所では、お昼になると鉱石列車は鉱務事務所の前に集結し、運行が止まります。この時間帯は機関車の形式写真や細部撮影には最適ですが、ここで昼休みです。

しかし、この僻地には食事ができる店は一軒もありません。それどころか、食べ物を調達できる店もありません。不覚にも昼食を買わずに来てしまったので仕方なく我慢しました。

 

1.№2空車列車ほか (鉱業所付近:1988年5月)

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 昼休みが終わると、鉱石列車は一斉に動き始めました。

非常に活気のある鉱石列車ですが、この頃すでに鉱山の砕石場からベルトコンベアで直接鉱石を運搬している箇所もあり、将来的に軌道はベルトコンベア化される様子でした。ここも合理化というか輸送力増強というか、盛業にもかかわらず尻屋運鉱線の将来は決して明るくありませんでした。

 

2.№1空車列車 (鉱務事務所付近:1988年5月) 

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蒸気を吐きながら、最年長の1号機がやってきました。機関車はすべて防爆型の15t機に統一されていましたが、ここの機関車もその生い立ちは様々でした。

この1号機は尻屋鉱業所の生え抜きですが、なかには日鉄グループの他の鉱山から転籍してきた機関車も存在しました。

 

3.№6空車列車 (鉱務事務所付近:1988年5月)

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 天気はますます快晴となり、海の青さが際立ちます。

こんな風光明媚な鉱山軌道は滅多にありません。

 

4.№2積車列車 (鉱務事務所付近:1988年5月)

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 エメラルドグリーンの海に手が届きそうですが、海抜は30~40mほどあるでしょうか、断崖絶壁の恐ろしい場所ですが、身を乗り出して撮影を続けました。

 

5.№3積車列車 (鉱務事務所付近:1988年5月)

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 これらの写真は、軌道に平行する一般道から撮影しました。工事現場でもなく、気兼ねなく撮影できたのがこ尻屋運鉱線の良いところでした。

 

6.№3空車列車 (鉱務事務所付近:1988年5月)

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 軌道のすぐ下は、綺麗な海岸です。真夏なのに誰一人いません。時間に余裕があれば海水浴でも楽しみたいところですが、列車は立て続けにやってくるので余裕などありません。

 

7.グランビ鉱車 (鉱務事務所付近:1988年5月)

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 昼休み中の鉱車です。青い海と石灰まみれの白い鉱車がミスマッチです。