1988年8月に訪問した岩手開発鉄道の、旅客列車の話題を第251話~第255話でお伝えしましたが、今回はその時の貨物列車の話題です。貨物と言っても、岩手開発鉄道は一般の貨物輸送は行っておらず、終点の白岩鉱山で産出される石灰石を赤崎にあるセメント工場まで運ぶ、いわゆる鉱石輸送のみです。しかし、鉱石輸送のみとは言うものの18両のホキを連結した鉱石列車が24時間フル運用で走る、セメント会社の専用線のような路線で、とても旅客輸送も行っている地方鉄道とは思えない路線でした。
1.DD5651牽引の空車貨物 (猪川~盛:1988年8月)
旅客列車の際にも触れましたが、この訪問の初日はいきなり貨物列車が休業日でした。これには面を食らいましたが、二日目はなんとか貨物列車の撮影ができました。
2.DD5601牽引の空車貨物 (盛:1988年8月)
写真は盛のヤードに停車中の岩手石橋行の空車貨物列車です。
ホキを18両も連結しており壮観です。この貨物列車を見ていると、とてもローカル私鉄には思えません。旅客列車とのギャップがこの鉄道の特徴でした。
3.DD5651 (盛:1988年8月)
機関車はDD56形(注1)が4両在籍しています。全て56t級のDDタイプで、国鉄DD13並の性能的です。当初導入された3両は橋梁の耐荷重の関係で53tでしたが、後に増備された4両目のDD5601に合わせ、ホキを20両牽引対応として56tに重量アップされました。
(注1)DD56形の車歴
・岩手開発DD5651←DD5351:1968年新潟鐵工所製
・岩手開発DD5652←DD5352:1969年新潟鐵工所製
・岩手開発DD5653←DD5353:1973年新潟鐵工所製
・岩手開発DD5601:1977年新潟鐵工所製
4.DD5601牽引の積車貨物 (盛~猪川:1988年8月)
盛~猪川間には盛川に掛かる立派なコンクリート橋梁があります。岩手開発鉄道は、赤崎~岩手石橋間の全長11.5kmの間に、この盛川を3カ所も渡っています。
5.DD4341(廃車)、キハ301 (盛:1988年8月)
盛のヤードには廃車になったDD4341と、これは廃車ではないキハ301が留置されていました。DD4341はDD53形が導入される前の石灰石輸送機でしたが、晩年は赤崎~盛間のセメント輸送に使用され、セメント輸送が廃止された以降は予備機となり、1985年に廃車されました。
6.DD4341(廃車) (盛:1988年8月)
DD4331は、珍しい東洋電機製(実態は東洋工機製)のロッド駆動の43t機です。これ以前にも東洋製の38t機が2両在籍していました。