ローカル線の回顧録

1970年代後半から2000年頃までのローカル線の記録

第433話 1987年京福(嵐山):奇妙な低床電車

1987年の夏、大阪へ出張した際の休日に嵐電の旧型車を見に行きました。

異常なほど暑い日だったので、沿線撮影はほどほどに手を抜いて、お目当ての旧型車を駅のホームで待ち構えましたが、なかなか現れません。

 

1.モボ112 (有栖川~帷子ノ辻:1987年8月)

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ようやくやって来た旧型車はモボ112でした。せっかくのチャンスですが、陽の向きがモロ正面となってしまいました。 しかし、暑くて移動する気もありません。

当時の嵐電は、モボ101形が車体更新されて、モボ301形と同じ車体となっており、旧型車スタイルだったのは、モボ111形(注1)とモボ121形(注2)、そして増結用のク201形(注3)でした。しかし、これらの旧型車も冷房車として登場したモボ501形などに機器を譲って廃車が進んでいました。

 

2.モボ125 (有栖川~帷子ノ辻:1987年8月)

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 今度はモボ125がやって来ました。どうやら走っている旧型車はモボ112とモボ125の2両だけのようでした。

さて、嵐電は専用軌道区間と併用軌道区間が混在する、どちらかと言えば路面電車ですが、車両はステップレスの低床車で、密着連結器を備える奇妙な電車です。この頃は旧型の増結用制御車ク201形も存在しラッシュ時を主体に連結運転もあり、不思議な路面電車でした。

 

3.モボ125 (有栖川~帷子ノ辻:1987年8月)

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(注1)モボ111形の車歴

京福モボ111~117←京都電灯モボ111~117:1932年田中車輌製

モボ111形は、モボ101形の増備車として製造され、外観はモボ101形の更新前と同じ形態でした。モボ114は1984年に新車のモボ501へ機器を流用して廃車。

(注2)モボ121形の車歴

京福モボ121~125←京都電灯モボ121~125:1936年川崎車輌

京福モボ126~130←京都電灯モボ126~130:1937年川崎車輌
モボ121形も、モボ101形の更新前と同じスタイルです。なお、モボ121~124はク201形の連結専用として4個モーターとなっていました。モボ129、128、130は、1984年~1985年に新車のモボ502、504,503へ機器を流用して廃車。

(注3)ク201形の車歴

 ・京福ク201~203:1950年汽車会社製

ク201形もモボ101形の更新前スタイルを踏襲しましたが、片運車でドア配置が異なりました。ク201は写真を撮る機会がなく、残念です。

 

4.モボ125 (嵐山:1987年8月)

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 この頃の車両は、旧態然とした半鋼製の旧型車と、それらを車体更新した車両及び新車が混在していましたが、冷房付きの新車が登場し、旧型車がそろそろ危うくなっていました。ただ、車両は路面電車?タイプなので、イマイチ興味が湧かず、この日も暑さに負けて、なんともていたらくな撮影となってしまいました。

 

5.モボ106 (有栖川:1987年8月)

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 モボ101形(注4)は、元々モボ111形、121形と同じ形態でしたが、1929年製で一番古い車両だったため、1975年にモボ301形と同じ全鋼製車体に更新されました。

 

6.モボ104 (有栖川~帷子ノ辻:1987年8月)

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(注4)モボ101形の車歴
京福モボ101~106←京都電灯モボ101~106:1929年藤永田造船製
モボ101形は1975年に武庫川車輌で車体更新実施。1989年~1992年に冷房化。

 

7.モボ301 (有栖川~帷子ノ辻:1987年8月)

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 モボ301形(注5)は自社保有機器と京都市電や叡山線車両の中古機器を流用して1971年に新製した久々の車両です。外観は京都のお寺のお坊さんを意識したのか?坊主頭の様な額が異様に広い張り上げ屋根の車体で、旧型車亡き後は、嵐電の代名詞的な車両になりました。モボ101形の更新車にも踏襲された外観は、垢抜けしないデザインですが、これが京都のイメージとマッチして、最近では車体広告も兼ねて、いろんなカラーバリエーションで活躍しています。もちろん冷房化もされました。

(注5)モボ301の車歴

京福モボ301~302:1971年武庫川車輌製

 

8.モボ503 (嵐山:1987年8月)

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 さすがに1980年代ともなれば、嵐電にもモボ501形(注6)という見た目は軽快電車ポイ冷房車が登場しました。

この電車は、なんとなく都電7000形更新車のような、広電700形のような前面をしており、てっきりアルナ工機製かと思いましたが、武庫川車輌製でした。

(注6)モボ501形の車歴

京福モボ501~502:1984武庫川車輌製

京福モボ503~504:1985年武庫川車輌製

モボ501形は、旧型車の機器を流用して4両製造された、嵐電最初の冷房車です。この形式だけ、ドアは配置が前中2ドアです。ところで、モボ503,504はなぜか2000年早々と廃車となりました。

この日は暑さに負けて、この程度の撮影で撤収となりました。改めてリベンジを考えましたが、その後の嵐電撮影は1995年まで飛びます。