ローカル線の回顧録

1970年代後半から2000年頃までのローカル線の記録

第436話 1984年東金商店街:いにしえの商店軌道(その3)

今回は東金商店街に存在した、伊勢孫本店さん以外の商店軌道です。

他の2軒はスタンダードの商店軌道でした。いずれも通りに面した商店から、お店の裏側にある倉庫に商品などを運ぶための軌道で、手押しトロッコが1両ありました。

 

1.内野屋砂糖店 手押し軌道 (1984年3月)

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 こちらは、内野屋砂糖店さんです。お店の中を貫通する軌道は、カーブしてお店の裏手にある住居の軒先を通り倉庫まで敷設されていました。

 

2.内野屋砂糖店 手押し軌道 (1984年3月)

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 良く吠える元気な番犬がいました。この軌道は総延長が50mほどで、軌間は610mmですが、狭い路地に敷かれているので、軌間が広く見えます。

 

3.内野屋砂糖店 手押し軌道 (1984年3月)

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 なんとも、生活感漂う模型チックな雰囲気です。

 

4.内野屋砂糖店 手押し軌道 (1984年3月)

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 この軌道の終端部には物干し台があり、そこに登ると、この様に軌道が俯瞰できました。ジオラマを見ているようです。

 

5.内野屋砂糖店 手押し軌道 (1984年3月)

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 お店の土間を軌道が貫通していました。そこには木製のトロッコが1台、商品を載せて鎮座していました。

 

6.八百平商店 手押し軌道 (1984年3月)

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 最後のもう1軒の軌道は、雑貨問屋の八百平商店さんです。こちらも用途は内野屋砂糖店さんと同じで、似たような線路配置ですが、すでに使用されていない様子でした。総延長は30mほどで、軌間は500mm?。

 

7.八百平商店 手押し軌道 (1984年3月)

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 レールも朽ちて、これではトロッコも通行できません。

 

8.八百平商店 手押し軌道 (1984年3月)

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 軌道は、通りに面したお店と隣の建物の間の狭い路地に唐突に敷かれており、一瞬見過ごしてしまいそうな場所にありました。しかし、奥の方はやや開けて雑木林の様になっていました。

 

9.八百平商店 手押し軌道 (1984年3月)

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 こんな廃線のような軌道でしたが、トロッコは健在でした。もはや物置台と化した様相ですが、しっかり車輪はレールに載っていました。

以上が、かつて東金商店街に存在した商店軌道です。今や鉄道は無人で走る時代ですが、これぞ鉄道の原点と言っても過言ではないでしょう。しかし、いずれも現存しないことが非常に残念です。