廃車群の一番水海道寄りに留置されていたのは、キハ703でした。
そして、その隣は長年のコンビだったキハ704ですが、どういうわけか普段は見ることができなかった顔同士が向き合って留置されていました。
1.キハ703 (水海道~小絹:1989年1月)
一番端のキハ703は、連結面を向けていました。キハ703は元々両運車で、以前この連結面は、正面側と同じ2枚窓非貫通の顔をしていました。しかし、関東流の洗礼を浴びて片運化の際に不要となった方の顔は、お隣のキハ704に移植されました。
2.キハ703 (小絹~水海道:1989年1月)
キハ703の顔が写っていますが、向き合っているキハ704の顔も、元々キハ703の顔なので、同じ顔が向き合っていることになります。このキハ703は常総筑波鉄道時代に新製された最後の機械式気動車でした。ちょっと変わった湘南顔?で、キハ10系モドキのバス窓でしたが、トルコン化された後、1965年に片運2連化されてキハ704とコンビを組みました。当初この2連は側面こそ全く異なるスタイルでしたが、前面は全く同じ顔をしていました。しかし、キハ703の方は踏切事故に遭い、前面を復旧した際に、顔つきが変わってしまいました。
3.キハ703の車内 (水海道~小絹:1989年1月)
キハ703の車内には、なんとエンジンが・・・。部品確保が厳しくなってきたDMH17ですが、旧型車がいなくなっても、キハ310形やキハ0形などの、まだまだ主力エンジンなので、廃車とは言えエンジン部品を無駄に廃棄するわけにいかず、使える部品はすべて回収です。
4.キハ704 (水海道~小絹:1989年1月)
キハ704はキハ703から顔をもらいましたが、キハ703は踏切事故で顔が少し変わってしまったので、こちらのキハ704の方がキハ703オリジナルの顔です。ところで、キハ704の車体は元国鉄キハ42000形です。よって、側面はバス窓ではなく、どちらかと言えばキハ610形と同じ仲間です。
5.キハ704 (小絹~水海道:1989年1月)
キハ704の車内も部品取りの最中でした。キハ704の車体は元国鉄キハ42000形ですが、2連化の時に車内は更新されたので、キハ703と同様な内装となりましたが半鋼製でした。
6.キハ551 (小絹~水海道:1989年1月)
キハ551は、ちょっと風変わりな顔の車両ですが、これも遡れば元国鉄のキハ42000形です。かつて「西の非電化私鉄の雄」と言われた江若鉄道時代に、大鉄車輌によってブサイク顔となりました。その後は富山の加越能鉄道に転じ、さらに常総線に転じて来た流浪の気動車です。そしてついに江若の落ち武者は敵陣の地で尽き果てました。
7.キハ551の車内 (水海道~小絹:1989年1月)
キハ551の車内にもエンジンが転がっていました。いままで各地で再三の改造を受けて来た車両ですが、その「紆余曲折の断末魔」がこれでした。