ローカル線の回顧録

1970年代後半から2000年頃までのローカル線の記録

第637話 1992年小口川:名もない天空の資材運搬軌道(その3)

ゲテモノロコの存在を期待して、軌道区間を夢中になって歩きましたが、何の音沙汰もありません。ちょっと不安になって来ました。

 

1.撮影場所詳細(引用:国土地理院1/25000地形図「小見」昭和52年発行)

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 事前情報では、軌道の途中に機関車の留置線があるとのことでした。かつては留置線に屋根付きの掘っ立て小屋も存在していたそうです。一体どんな機関車がいるのか?

 

写真⑭

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 軌道は坦々と続きました。等高線に沿って小刻みに曲がりくねっていましたが、写真⑭の様に曲線と言うより、折れ線です。案の定、よく脱線したそうです。

 

写真⑮

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写真⑮は軌道用地確保のため岩を削った場所の様です。岩肌が風化して軌道に土砂が流れ込んでいました。この場所に限らず、軌道上のところどころに落石や小規模な土砂崩れが確認されました。

 

写真⑯

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 カーブを曲がると、いきなり緑色の物体が目に飛び込んできました。写真⑯は機関車の留置線でした。しかし、屋根はなく、単なる側線留置場です。

 

写真⑰

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写真⑰はようやくめぐり合えたゲテモノロコです。同人誌の「EP-anthology」に掲載されていた無番のロコでした。当時はこの機関車が主力機のようでしたが、本当に走るのか?よく見ると後軸側がジャッキアップされており、エンドビームには転倒防止のためか、丸太のつっかえ棒がしてあります。故障したのか修理中の様です。しかし、屋根もないこんな露天で修理とは、やはりここは車庫と言うことです。

 この機関車もこの運搬軌道の伝統でトラック改造です。種車ダットサンとのことですが、外板は造り替えてしまったので、見た目はトラックの面影はありません。キャブは1人乗り。座席やダッシュボードはトラックそのままで、ダミーのハンドルまで付いています。この軌道には転車台がないので、第3発電所から起点方面へ向かう際はバック運転となりますが、バックは1速走行なので、機関車は代々オーバーヒートが悩ましかったとか・・・。

 

写真⑱

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 写真⑱は第3発電所側から留置線を撮ったものですが、かつては、ここに屋根付きの掘っ立て小屋があり、車両の交換所兼車庫だったそうです。しかし、ここは軌道の途中で、機関車を保守する設備など何もなく、なぜ終端でもないこんな狭い場所に車庫を設置したのか、理由がわかりません。

 

写真⑲

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 軌道はさらに続きます。写真⑲は、視界の開けた場所から第3発電所を撮ったものです。山腹の白い建物は、この現場で働く人たちの合宿所です。もう少しで終点です。