ローカル線の回顧録

1970年代後半から2000年頃までのローカル線の記録

第638話 1992年小口川:名もない天空の資材運搬軌道(その4)

私がこの軌道を地形図で見つけたのは昭和54年発行の国土地理院の地形図でしたが、1992年当時、国土地理院の地形図から小口川資材運搬軌道の標記がなくなっていました。軌道はまだ存在しているのにどうして軌道の標記が消されたのか?そもそも地形図に記載される軌道の基準がわかりません。そう言えば、屋久島の元森林鉄道も廃線後も別な用途で存続していますが、国土地理院の地形図から消えています。しかし市販されている一部の気の利いた登山マップなどには軌道の存在が記されていますが・・・。

 

1.撮影場所詳細(引用:国土地理院1/25000地形図「小見」昭和52年発行)

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 さて、小口川資材運搬軌道探訪の続きですが、機関車の留置線を過ぎて、更に進むと軌道は等高線に沿って険しく曲がりくねり、谷を大きく迂回して沢を渡ります。第3発電所は間近に見えましたが、ここから先が結構大回りとなりました。

 

写真⑳

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 写真⑳はこの軌道の撮影ポイントですが、今日は機関車は来ないようです。

軌道はΩカーブで沢を渡ります。沢を渡る橋の部分はまだコンクリートも新しく、改修されたばかりのようでした。

 

写真㉑

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 写真㉑あたりは、鬱蒼とした木立の中を進みます。軌道脇の苔むしたコンクリート構造物は、導水路のようです。

 

写真㉒

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 写真㉒はこの軌道では珍しく直線が続きます。

 

写真㉓

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 写真㉓は再び沢を渡るため、軌道は谷を大きく迂回します。前方の看板は、落石注意の標識です。誰のための落石注意なのか分かりませんが、ここで落石に逢ったら一巻の終わりです。しかし、こんなに樹木が鬱蒼とした場所ですが、軌道には拳ほどの落石が結構転がっていました。

 

写真㉔

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写真㉔は交換所です。なぜここに交換所があるのか?他に交換所となるスペースがないからなのかも知れませんが、ここはちょうど軌道の中間くらいの場所でした。しかし、交換所とは言え、列車が交換するほど多く走ることはまずありません。実態は留置車両の退避線と言ったところです。

 

写真㉕

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 緑豊かな森林鉄道のような雰囲気です。交換所を過ぎると写真㉕の先で沢を渡りますが、そこもΩカーブになっています。あまり標高を感じませんが、かなり深い谷です。