ローカル線の回顧録

1970年代後半から2000年頃までのローカル線の記録

第712話 1980年岡山電軌:マイナーな路面電車博物館の頃(その2)

今回も岡電の続きですが、この日は下津井へ行くため、深夜の広島を夜行急行阿蘇号で出発し、早朝に岡山で降りました。

この日の目的地はあくまでも下津井でしたが、実は岡電に新車が入ったと言う情報があったので、まずはそれを見に東山へ向かいました。

 

1.3009 (岡山駅前:1980年7月)

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 早朝の岡山駅前は自動車が1台も走っておらず閑散としていました。待つことしばし、始発電車の3009がやって来ました。

(注1)3000形の車歴

岡電3000形3002~3010←東武日光105~107,110,104,108,101,103,109:1953年宇都宮車輌製

岡電7000系列への車体更新は雑多な車両から進められましたが、3000形はまとまった両数だったからか、更新対象にはなりませんでした。そして、雑多車両の更新が完了した以降は、新製される7900形へ一部の機器を転用する程度で廃車が進みます。その後、9200形LRVの導入により3両が余剰となりましたが、現在3005,3007の2両がイベント用に残存しているようです。

 

2.東山車庫のトラバーサ (東山:1980年7月)

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 東山車庫の様子です。こじんまりした好ましい車庫です。この車庫は奥にはかわいいトラバーサもありました。

 

3.東山車庫構内 3006他 (東山:1980年7月)

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 車庫の入り口から中をのぞくと、これから出庫する車両が控えていました。よく見ると先頭の3006の後ろに新車の姿が見えます。ずいぶんデカく見えます。

 

4.7001 (東山:1980年7月)

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 これが新車の7001です。当時私の住んでいた広島には、この7月29日に軽快電車3500形がやって来ましたが、岡山はそれよりも少し早く、5月にこの軽快電車風の更新車が導入されました。

7000形(注2)は斬新なキュービクルなスタイルで、冷房車であることが大変うらやましく思えましたが、臓物は・・・・吊掛車です。でも、その頃の路面電車は中身よりも見てくれさえ良ければ、それで十分でした。7000形は当初はご覧のように、岡電標準塗装でした。この塗装は結構似合っていましたが、その後は増備車を含めて全車車体広告となります。

(注2)7000形の車歴

岡電7000形7001,7002:1980年アルナ工機

 

5.創立70周年記念乗車券の一部

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東山では車庫の見学ついでに、記念乗車券を購入していました。この記念乗車券は新車の落成記念ではなく、岡電の70周年を記念したもので、1組1000円もしました。でもこのレトロ車両の図柄が結構良い感じです。一番下の 100形は最後まで残っていた4輪単車の原形です。岡電では、こんな小さい電車が1966年まで主力というか、これしかなかったことに驚きます。

 

6.7000形リーフレット

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 記念乗車券には、7000形のリーフレットが付いていました。こちらはただのコピーでもちろんタダです。このリーフレットを見ると、7000形は70周年記念で製造されたようです。記載内容も新車ではなく正直に「車体を新造し」と書かれており、岡電の謙虚さが伺えます。

しかし、車体新造はこれで終わらず、その後は継続して毎年1,2両のペースで雑多車両の更新が行われました。よって岡電は、いつしかマイナーな路面電車博物館ではなくなってしまいました。

ところで、岡電にマイナーな車両が集結した背景ですが、恐らく軌間が1067mmだったことが要因と思われます。広電は標準軌だったので、競合することなく中古車はすみ分けされて供給できたものと思われますが、その結果がマイナーな路面電車博物館と言うことのようです。