ローカル線の回顧録

1970年代後半から2000年頃までのローカル線の記録

第721話 1992年江ノ島:江ノ電90歳の頃(その3)

開業90周年を迎えた江ノ電ですが、新車の2000形導入や旧型車の延命化が一段落し、その後はしばらく車両の変化はありませんでした。一つ気になったのは、500形の処遇でした。

 

1.デハ303+デハ353、デハ501+デハ551 (極楽寺:1992年10月)

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 この時点、500形はカルダン化されていましたが、非冷房のままでした。延命化対象となっていた303編成と304編成が冷房化されたのに、かつての看板電車である500形はどうしたものか?

 

2.デハ303+デハ353、デハ501+デハ551 (極楽寺:1992年10月)

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 どうやら、500形は車体構造上冷房化が困難だったようです。そうなると500形もそう長生きできません。恐らく、次の廃車候補は302編成であることは間違いありませんが、その次は500形?。

 

3.デハ303+デハ353 (極楽寺:1992年10月)

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 さて、延命化対象となり命拾いしたのが303編成でした。まさか冷房化やカルダン化までされるとは思いませんでした。外観も304編成のような張り上げ屋根となり、いつまで生き延びるのか?ところで、この車両は304編成と瓜二つになりましたが、よく見ると304編成よりも少し細身です。認可寸法によると303編成は304編成より114㎜ほど幅が狭く、65㎜ほど車高が高くなっています。これは、種車の車体をそのまま流用した303編成とは違い、304編成は種車の台枠を流用し構体を再構成する際に車体幅を拡幅したためです。しかしながら、車体幅が10cmも違うと客室長20mとして、計算上6名ほど定員が異なるはずですが、303編成、304編成共に当初の竣工図では、定員は150人となっており不可解です。

 

4.デハ304+デハ354+デハ303+デハ353 (稲村ケ崎極楽寺:1992年10月)

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 303編成より少し太めの304編成がやってきました。まだ塗装したてで、緑色が気持ち明るくなったように見えました。結局この車両は2005年まで使用されました。

 

5.デハ502+デハ552 (稲村ケ崎極楽寺:1992年10月)

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 この日は502編成が運用されていました。90周年記念のマークが少し左に寄っていますが、ジャンパ栓受けと干渉しています。501編成も同様ですが、502編成の方が極端です。501と502は同じ様な車両ですが、こういった部分が微妙に違います。

なお、500形はその後10年程生き延び、501編成が2002年、502編成が2003年に廃車となりました。

 

6.デハ1002+デハ1052 (極楽寺:1992年10月)

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 1000形もまだ新しい車両と思っていましたが、導入は1979年からです。この時点ですでに13年が経過していました。しかしこの車両はいまだに吊掛車です。気が付けば、もっと古い303編成や304編成がカルダン化されたのにどういうことなのか?

 

7.デハ2001、デハ1501、デハ2003  (極楽寺:1992年10月)

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 この写真は偶然、新しい車両が並んでいました。中央の1500形は当初からカルダン車でした。あれから30年経ち、現在の江ノ電には更に新しい車両が増えています。もうローカル線とは言えません。