ローカル線の回顧録

1970年代後半から2000年頃までのローカル線の記録

第755話 1993年熊本:LRTを夢見る(その6)

1993年当時の熊本電鉄の様子は、一通りお伝えしましたが、今回はついでに当時確認できた保存車両をお伝えします。

 

1.旧モハ101(保存車) (菊池駅跡:1993年10月)

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  熊本電鉄の保存車両については、旧菊池駅跡にモハ101が有るという情報しか持っていませんでした。とりあえず菊池へ行ってみました。

この写真は、そのモハ101です。保存場所はすぐにわかりましたが、これが保存といえるのか?場所は菊池駅跡とのことですが、周りは駐車場のような空き地で、保存車の説明はなにもなく、車両はただ置いてあるだけでした。

 

2.旧モハ101(保存車) (菊池駅跡:1993年10月)

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 御代志~菊池間の廃止は1986年なので、この車両は7年間ここに置かれていることになりますが、もう保存と言うより放置状態でした。

 

3.旧モハ101(保存車) (菊池駅跡:1993年10月)

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モハ100形は熊本電鉄の発注車でした。この車両は日立電鉄のモハ9形とは共通設計の日立製作所製で、15m級半鋼製の間接制御車でしたが、改造によって日立のモハ9形とはスタイルが変わってしまいました。

モハ100形は全部で3両ありましたが、そのうちモハ101のみが最初からモハで、モハ102,103は クハで製造されました。製造時期的に戦時中の物資不足の頃なので、一度にモハを3両導入できなかった様ですが、1949年には2両のクハも電動化されました。

 

4.旧モハ102(保存車)+旧モハ201(保存車) (泗水駅跡:1993年10月)

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 保存車を求めて、菊池へ向かう途中でバスから保存車らしきものを確認し、菊池の帰りに見に行きました。

ここは、かつての泗水駅だった場所にある公園ですが、旧モハ102と旧モハ201が、商業施設に活用されていました。

 

5.旧モハ102(保存車)+旧モハ201(保存車) (泗水駅跡:1993年10月)

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 こちらの車両は、保存と言うよりは、廃車の再利用ですが、車体だけでなく機器類もそのままで、外装もきれいなので、菊池の旧モハ101よりも保存車らしい状態でした。

 

6.旧モハ201(保存車)+旧モハ102(保存車) (泗水駅跡:1993年10月)

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 もう1両の旧モハ201Ⅱは、貫通扉と一部窓が塞がれていましたが、こちらもしっかりしていました。モハ201Ⅱは1967年に導入された元東急電鉄のデハ3150形が前身の古い車両で、一目瞭然の川造タイプです。同僚だったクハ203(←モハ203)は廃車後、解体されたようです。

 

7.旧モハ103(保存車) (熊本市内:1993年10月)

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 そして、これも偶然バスから見かけた旧モハ302です。この車両は1960年に導入された元小田急デハ1100形です。4両在籍しましたが、最後まで残ったのはこのモハ302でした。

この場所を通るバスは非常に少なく、泗水から熊本に戻る際にたまたま乗ったバスがここを通ったので発見できました。この車両も商業施設に活用されていましたが、すでにだるま状態で、車体塗装はオリジナルではありません。しかし、ふざけた塗装ではなく、とても似合ってます。

この日確認できた保存車は、4両でしたが、熊本電鉄オリジナルのモハ100形は2両が存在していました。

※保存車の車歴

・熊本モハ101:1944年日立製作所製(1986年2月廃車)

・熊本モハ102←熊本クハ201:1944年日立製作所製(1986年2月廃車)

・熊本モハ201Ⅱ←東急デハ3151:1927年川崎車輌製(1985年12月廃車)

・熊本モハ302←小田急デハ1106:1928年日本車輌製(1985年12月廃車)

これらの保存車両ですが、その後はどうなったのか確認をしていませんが、あれから28年が経ち、すでに全車解体されたようです。