ローカル線の回顧録

1970年代後半から2000年頃までのローカル線の記録

第783話 1993年熊本市交:新しいもの大好き(その2)

熊本市電の路線は、かつては総延長が25kmもあったそうですが、昭和40年代に路線短縮の結果、1993年時点で半分以下の12.1kmとなっており、現在に至ります。現在の運行系統は2系統あり、田崎橋・熊本駅健軍町の②系統と、上熊本健軍町の③系統です。

熊本の街は、熊本駅周辺はあまり賑やかではありませんでした。熊本の繁華街は辛島町という一帯です。②系統と③系統は西辛島町で合流し、西辛島町~健軍町は運行本数も倍増となり、かなりの高頻度運転です。

 

1.1207 (電報局前~水道町:1993年9月)

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 今回の撮影は、熊本電鉄藤崎宮前へ行く道中だったので、水道町、通町筋あたりでの撮影です。電車は次々とやって来ました。

 

2.1205 (電報局前~水道町:1993年9月)

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 今度は1200形(注1)です。1200形は1958年に東洋工機で10両製造されました。この車両は元200形でしたが、1966年のワンマン化で改番されました。1090形との違いは製造当初から室内灯が蛍光灯だったことくらいですが、この電車の見分け方は、前面右窓のワイパーが左上に設置されているので、少し不機嫌な表情をしています。

 

3.1210,1353 (電報局前~水道町:1993年9月)

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 (注1)1200形の車歴

熊本市交1201~1210←熊本市交201~209,200:1958年東洋工機製

 1200形は1978年から冷房改造を行った日本初の路面電車だそうです。熊本市交通局は結構先進的な路面電車です。

 なお、1206と1208は1985年、1202と1209は1986年に台車と機器類を8500形に譲るため廃車になり、1993年時点で1200形は6両在籍していました。

 

4.1352 (電報局前~水道町:1993年9月)

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そして、1350形(注2)はこのタイプの車両では一番新しい1960年製で、東洋工機で6両製造されました。ちなみにこの1350形の次の新車が1982年製のVVVF車8200形まで飛びます。その間新製車がなかった理由は、路線短縮や他社からの中古車譲受などによるものです。

 

5.1353 (電報局前~水道町:1993年9月)

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 (注1)1350形の車歴

熊本市交1351~1356←熊本市交351~356:1960年東洋工機製

1350形は、ほとんど1200形と同じ仕様です。元は350形と称していました。350形となった理由は、昭和35年の熊本国体に合わせて製造されたことから350形になったそうですが、これもワンマン化に合わせて改番されて1350形となりました。この車両の見分け方ですが、前面右窓のワイパー設置は、右上と左上の2種類があり、1090形、1200形との見分けが難しいです。細かな違いですが、前面左窓が2段式のサッシ窓になっていることと、中扉の車掌台部の窓が上下とも固定になっていることくらいでしょうか。

 

6.1351 (電報局前~水道町:1993年9月)

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 この当時、熊本市電には広告電車がないと聞いていましたが、この1350形には、写真5,6の様な広告電車?が見られました。しかし、これらは収益目的の広告電車ではなかったようです。

熊本市電の広告車は、市制100年を記念して街の景観改善の目的で、1989年に廃止されました。しかし、財政難に広告収入は不可欠となり、1999年には再び広告電車が復活しました。