ローカル線の回顧録

1970年代後半から2000年頃までのローカル線の記録

第832話 1994年阪堺:ナニワの新喜劇的ノリ(その3)

 阪堺電車のオリジナル塗装は、元は南海軌道線時代の地味なグリーン一色に窓枠とドアが木目を活かしたニス塗りだったと思いますが。それが、一時期クリーム色とグリーンのツートンカラーになり、1975年頃からオレンジ、ブルー、グリーンに雲をあしらったカラフルな塗装に変更されました。しかし、その後は一転して全車が奇抜な広告電車になってしまいました。

 

1.169他、広告車オンパレード (我孫子道:1994年10月)

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 しかしながら、貴重な昭和初期の路面電車なので、1両くらいはオリジナル塗装で走らせて欲しかったのですが、このころは旧型車がゴロゴロいたので希少価値の感覚などなかったのかも知れません。

 

2.301 (我孫子道:1994年10月)

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 このちょっと前には、モ151形が全廃されましたが、結局、オリジナル塗装には1両も戻らずになくなってしまいました。モ121形、モ161形、モ301形もそうならないことを願うばかりでした。

 

3.504 (我孫子道:1994年10月)

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 さて、少し新しい車両に目を向けて見ましょう。新しいかと言って、広告塗装は容赦ありませんでした。

 

4.502 (我孫子道:1994年10月)

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 この車両は、南海時代に大阪市電のPCCを模して新造されたモ501形(注1)です。さすがにPCCを模しただけあって、間接自動制御のカルダン車で空気ばね台車を履いています。

 

5.505 (我孫子道:1994年10月)

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 (注1)モ501形の車歴

阪堺501~505←南海501~505:1957年帝国車輌製

 

6.353 (我孫子道:1994年10月)

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 353は、見た目はモ501形そっくりですが、モ501形ではなく、モ351形(注2)に属します。この車両は木造車のモ101形の主電動機を流用した吊掛車で、空気ばね台車を履いた間接制御車です。

(注2)モ351形の車歴

阪堺351,352←南海351,352:1962年汽車会社製

阪堺353~355←南海353~355:1963年帝国車輌製

 

7.351 (我孫子道:1994年10月)

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 この写真は全身マスキングの351です。これから広告塗装の更新です。窓には中吊り広告がマスキングとして貼られていましたが、これも鉄道会社の車両工場ならではの光景です。モ501形もモ351形も派手な広告電車ですが、広電にいた900形に似ており、なんだか馴染みがあります。