ローカル線の回顧録

1970年代後半から2000年頃までのローカル線の記録

第986話 1993年野上:米騒動の秋

1993年10月のある日、もう遅いと思いつつ稲穂がたなびく光景を求めて野上谷へ向かいました。この日は天気が下り坂であることが分かっていましたが、天気予報では、朝は晴れるとの情報があり、とにかくイチかバチかの勝負でした。

 

1.モハ26+モハ25 (北山~野上中:1993年10月)

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この日も禁断の出庫バスに乗り、最初に出向いたのは野上中でした。天気はまずまずでしたが、この辺りはすでに稲刈りが終っており、残念ながら期待通りの撮影は叶いませんでした。恐らく1週間前なら稲刈りに間に合っていたかも知れません。いつも思うのですが、桜の満開と稲刈りのタイミングは運次第です。

 

2.モハ26+モハ25 (北山~野上中:1993年10月)

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さて、稲刈りはたいてい9月頃のはずですが、なぜ10月になって撮影に出向いたのかと言うと、この年は「平成の米騒動」と騒がれたほどの米の凶作だった年でした。夏の悪天候で冷夏となり、全国的に稲の生育が遅れたので、10月になっても刈取りが出来ない田圃が続出したからです。しかし、もう10月の下旬です。いつまでたっても実らない稲穂に見切りを付けたのか、油断していたら刈取られてしまいました。

 

3.クハ104+モハ31 (北山~野上中:1993年10月)

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続いてクハ104とモハ31のコンビがやってきましたが、稲刈りの終わった田圃は虚しいばかりです。ここで撮影していてもつまらないので、ダメもとで北山方面に移動です。

 

4.モハ27 (八幡馬場~北山:1993年10月)

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ところが、北山一帯の田圃はまだ刈取りされていませんでした。モハ27がやってきました。朝陽に照らされて稲穂が金色を呈しており、申し分ない彩です。先程まで落胆していましたが、気合を入れて、こんどは期待通りの撮影となりました。

 

5.モハ27 (八幡馬場~北山:1993年10月)

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さすがに10月下旬ともなれば、稲穂は熟しきっており、予想以上に一面の黄金色ですが、これは凶作のおかげ?です。列車は単行なので、多少インパクトに欠けますが、電車の朱色が映えます。汚れた電車もなんだか綺麗に見えます。

 

6.モハ27 (八幡馬場~北山:1993年10月)

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この付近は沿線の雑草に列車が隠れてしまいますが、黄色い野花がご愛嬌です。

 

7.モハ27 (八幡馬場~北山:1993年10月)

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モハ27はあっと言う間に行ってしまいましたが、対向列車がすぐに来ます。稲穂が残る場所はこの一帯だけですが、対向列車は2連のはずです。さて、次の撮影はどうするか?