1990年代中頃になると、ローカル私鉄のほとんどが大手私鉄の中古車両に入れ替わり、吊掛車というものが見られなくなりました。もう私の趣味も先が見えていましたが、とりあえず初期のカルダン車を追い掛けていました。ところが、初期のカルダン車も後輩のカルダン車に置き替わるケースが出始めました。これは、大手私鉄の車両交代がVVVF車への移行などによって、従来より短ピッチで進み始めたことが要因と思われますが、その頃大手私鉄でお払い箱となった車両は、昔の車両と違い、まだまだ十分に使えるほど状態が良かったことも要因のようです。まあ、いずれにせよ20～30年で鉄道車両を買い替えるだけ、贅沢な世の中になったのかも知れません。その恩恵が地方鉄道を救うことにもなりました。
１．モハ1000系２連 （寿～三つ峠：1994年12月）
そんな、カルダン車がカルダン車を追いやるケースとして、富士急行がありました。一時期、小田急富士急行線と化していましたが、主力だったモハ5700形が元京王5000系の導入により、こんどは京王富士急行線になりつつありました。
２．モハ1000系２連+モハ1000系２連 （寿～三つ峠：1994年12月）
この元京王5000系は、富士急行では1000系（注１）と称しロングシート車がモハ1000形+モハ1100形、セミクロスシート車がモハ1200形+モハ1300形として1994年～1996年にかけて導入されましたが、種車である京王クハ5850形を電動車化し、台車を営団3000系のFS-510に交換して狭軌化するなど、京王重機にて改造されています。このあたりの改造は、ちょうど時期的に同じ頃だった一畑電鉄向けの2100系、5000系と同仕様だったので、先に導入された伊予鉄道700系と合わせて、京王5000系の転売は結構まとまった両数となりました。
３．モハ1000系２連+モハ1000系２連 （三つ峠～寿：1994年12月）
（注1）1000系の車歴（1994年12月時点）
①モハ1000形（ロングシート車）
・富士急ﾓﾊ1001←京王ﾃﾞﾊ5113：1966年日本車輌製
②モハ1100形（ロングシート車）
・富士急ﾓﾊ1101←京王ｸﾊ5862：1966年日本車輌製
③モハ1200形（セミクロスシート車）
・富士急ﾓﾊ1201～1203,1205←京王ﾃﾞﾊ5115～5118：1967年日本車輌製
④モハ1300形（セミクロスシート車）
・富士急ﾓﾊ1301～1303,1305←京王ｸﾊ5863,5866～5868：1967年日本車輌製
４．モハ1000系２連+モハ1000系２連 （寿～三つ峠：1994年12月）
1994年時点で、1000系は5編成入線していましたが、そのうち4編成がセミクロスシート車でした。やはり、観光路線を固守していた様ですが、最終的にロングシート車が2編成、セミクロスシート車が7編成の合計9編成の大所帯となります。
５．モハ5001+モハ5002 （三つ峠～寿：1994年12月）
さて、その他の車両ですが、お買い物電車の5000形は当然健在でした。仲間が増備されないまま、この時点でまもなく20年になろうとしていました。気が付けば、富士急行のオリジナル車両はこの5000形だけになっていました。
６．モハ5002+モハ5001 （寿～三つ峠：1994年12月）
1000系が導入されましたが、1975年製のこの電車は富士急行では一番若い車両にはかわりありません。しかし、くたびれている様です。この電車は制御の都合、1000系とも連結運転できないので、相変わらず異端車でした。
７．JR165系4連 （寿～三つ峠：1994年12月）
これは、JRからの乗り入れ列車です。「ホリデー快速むさしの号」と称する、なにやら大宮からやって来た臨時列車でした。この頃はまだ167系が健在でしたが、河口湖や富士急ハイランドへの観光は、もはや高速バスに完全に乗っ取られており、観光鉄道としての富士急行線はもっとも冷え込んでいた頃の様に思われます。新宿からの列車では高速バスに太刀打ちできないのか、大宮発着とは苦肉のアイデア！！
