土佐電と言えば、やはり600形です。
600形は200形に続いて登場した、今度は太った車体更新前の都電7000形のような顔をした車両です。本来であれば、新型のLRT車両として、土佐電のPCCカーだった500形の量産的存在になるはずでしたが、カルダン化は見送られてしまい、安芸線直通用の間接非自動制御車と市内線専用の直接制御車が導入されました。
1.626他 (桟橋車庫:1994年8月)
しかしながら、この車両は31両も製造されて大所帯となり、そのうち601~621は自社工場製です。これだけの車両を作り込める技術力はかなりなものです。この技術力が後の輸入車導入に活かされたものと思われます。
2.620 (桟橋車庫:1994年8月)
600形(注1)は200形に代る安芸線直通車として導入されましたが、直通用の間接非自動制御車として製造されたのは、601,602,608,609,612~631の24両で、これらは連結器とジャンパー栓を装備していました。安芸線内では3連も運用されましたが、市内線は軌道法の制約で列車長が30m以下となるため、2連と単行に分けて続行運転されていました。
3.627 (桟橋車庫:1994年8月)
(注1)600形の車歴
・土佐601,602:1957年自社製
・土佐603~607:1958年自社製
・土佐608,609,613~615:1959年自社製
・土佐610~612,616~619:1960年自社製
・土佐620,621:1961年自社製
・土佐622,623:1963年ナニワ工機製
・土佐624~631:1964年ナニワ工機製
※613~615は610~612より1年早く竣工していますが理由がわかりません。また、同一形式で直接制御車と間接非自動制御車が混在しているのも運用を考えるとややこしく、なぜ別形式にしなかったのかもわかりません。
4.625 (桟橋車庫:1994年8月)
600形は安芸線廃止により、市内線専用となりましたが、市内線でもラッシュ時に2連運転されたので連結器等はそのままで運用されました。しかし、1987年に市内線の2連運転が廃止されると、徐々に連結器等が外されました。1994年の訪問時には、まだ連結器を装備した車両が多く見られましたが、ジャンパー栓はすでに撤去されていました。
5.631 (桟橋車庫:1994年8月)
1994年頃は、600形の冷房化が進行していました。しかし、600形は車両が多いので全車の冷房化が完了したのは1996年でした。
6.614 (桟橋車庫:1994年8月)
そして、600形も大半は広告車でした。ここにもアーモンドチョコがいました。
7.611 (桟橋車庫:1994年8月)
広告車は撮影を省略しましたが、この611は製造時から直接制御の車両と言うことでご覧いただきます。前述の通り、この車両には元から連結器は付いていませんで、まだ非冷房でした。この年は暑い夏でしたが、非冷房車と言えども、広告車なのでしっかり運用されていました。