ローカル線の回顧録

1970年代後半から2000年頃までのローカル線の記録

第979話 1993-94年広島:広電の西鉄電車

路面電車の博物館と言われる広電の移籍車両について、1993年~1994年頃の元大阪市電、元神戸市電、元京都市電の様子を、以前にもお伝えしましたが、今回は元西鉄の電車です。

 

1.601 (宇品:1993年11月)

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西鉄路面電車は福岡市内線と北九州線に大別されますが、広電にやって来たのは北九州線の500形と福岡市内線の連接車である1100形、1200形、1300形です。このうち市内線用として500形が3両だけ購入され、1977年に2代目の広電600形(注1)となりましたが、広電においては少数派で知名度が低く、しかも当初の601は1983年事故廃車となったので、わずか2両のレアな存在でした。

 

2.601 (稲荷町~銀山町:1994年5月)

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(注1)600形の車歴その後

・広電601←広電603←西鉄504:1948年汽車会社製(2001年廃車)

・広電602←西鉄502:1948年汽車会社製

※導入当初の601は事故廃車となったので、1983年に603が601に改番されました。

 

3.601 (猿猴橋:1993年7月)

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しかしながら、3両という中途半端な両数の購入でしたが、これは1975年に発生した千田町車庫の火災で不足した車両の穴埋めだったようです。その頃、西鉄では福岡市内線が廃止となり、その車両が北九州線に転属となったので、北九州線にいた500形が玉突きで廃車となり、タイミング的にちょうど良かった様です。

 

4.601 (宇品:1993年8月)

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この車両の導入にあたり、広電ではドア配置を前後2ドアから前中2ドアに変更し、ワンマン化を施しました。1948年製の古い車両ですが、元大阪市電である750形とほぼ同サイズの13m級の大型車であることから、少数派ですが1984年には冷房化されてフル活用されました。

 

5.602 (宇品:1993年8月)

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600形は両数が少ないからなのか、ある時期から車体広告車両はなかった様です。塗装は、一応オリジナルの西鉄カラーと言うことですが、下半身の茶色が赤過ぎてなんか変です。以前はもっと焦げ茶色でした。ちなみに第98話に1982年当時の写真をアップしていますのでご覧ください。

 

6.601 (向宇品口:1994年6月)

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この当時2両在籍していた600形ですが、2001年に601が廃車となり、現在は602だけがシングルアームパンタに変更されて生き延びている様です。貴重な現役の西鉄路面電車です。