現在神戸には、1100形、1150形の保存車が現存しますが、570形の保存車はありません。しかし、570形の保存車がサンフランシスコにいます。これはサンフランシスコ市の要請を受けて広電から578が寄贈されたものです。動態保存とのことですが現在はどうなっているのか?
1.587 (江波:1994年5月)
ちなみに、広電にやって来た元神戸市電の廃車は、やはり古めかしい570形から先行しました。1984年に廃車となった583を最初に、1987年までに17両中9両が廃車となりました。これは、2代目700形、2代目800形の増備による置き換え的な廃車によるもので、元大阪市電750形の廃車に続くものでした。1992年までに更に4両が廃止となり、1994年当時は4両の在籍でしたが、その内571は休車状態だったので、実質3両が現役でした。
2.587 (江波:1994年5月)
1994年5月の休日に江波車庫にいた587を一日追い掛けました。今となっては、良い記録となりました。
3.587 (原爆ドーム前~紙屋町:1994年5月)
ここは広島のメインストリートです。西陽を浴びて587がやって来ました。銀色のヘルメットが一際輝いていました。
4.587 (江波:1994年5月)
587はその後も9年間走り、2003年に廃車となりました。
5.584 (江波:1994年5月)
584は更に3年生き延びて2006年の廃車です。
6.582 (宇品:1993年8月)
582は、元神戸市電592を改番したものです。神戸市電から譲受した570形では一番新しい車両でした。そのためか、この車両は584,587が廃車になった以降も生き残り現在も唯一の570形として在籍しています。570形は昭和30年代に大規模な更新修繕を行っていますが、構体はこの車両の前身となる神戸市電J車のものを流用しており、もう100歳になります。
7.571 (荒手車庫:1993年11月)
そして、1994年当時にもう1両在籍していたのが571でした。571は570形で一番古いトップナンバーで、この当時在籍する唯一の元神戸市電K車を前身とした車両です。しかし、すでに休車状態で荒手車庫に留置されており、このまま 1998年に廃車されました。
さて、広電の神戸市電を一通り回顧してみましたが、あんなにたくさんいた元神戸市電は、なぜか最も古い570形の582だけになってしまいました。しかし、この車両を元神戸市電として大切に使用し続ける広電さんには頭が下がります。この車両もいずれは廃車になる時が来るはずです。戦前の神戸市電の雰囲気を残す貴重な車両ですが、広島での保存はなかなか難しいと思います。可能であれば神戸で末永く保存頂ければと願っています。