ローカル線の回顧録

1970年代後半から2000年頃までのローカル線の記録

第818話 1993-94年広島:広電の神戸市電(その5)

広電にやって来た元神戸市電は、新しい電車ばかりではありませんでした。

なんと大正時代の電車を更新した570形が17両もいました。この570形については、第92話でもお伝えしましたが、戦争で被災しなかった電車の寄せ集めで、とりあえずは、昭和30年代に構体骨組を流用して、同じ様なスタイルで更新されましたが、生い立ちは3形式に分かれます。

 

1.587 (稲荷町~銀山町:1993年8月)

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しかしながら、昭和30年代の更新にしては古めかしい風貌です。 

広電では、元神戸市電の転入により、戦前の疲弊したボギー車を置き換えましたが、転入車である570形の方が古い車両では?・・・・。しかしながら、きっと状態がよかったのでしょう。それが証拠に、冷房化されて1994年当時でもまだ3両は平然と走っていました。

 

2.587 (原爆ドーム前~紙屋町:1994年5月)

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この頃健在だったのは、582,584,587の3両でした。

もともと570形は、神戸市交のJ車、K車、L車の3形式を更新して形式統合したものですが、 582はかつてのJ車、584,587はかつてのL車に分類されます。全車同じようなスタイルですが、J車だった582のみ若干車体寸法が小柄で、なんとなく屋根が丸く見えてヘルメットを被っているようです。

 

3.587 (江波:1994年7月)

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 私が広島に住んでいた昭和50年代は、この570形が17両も在籍しており、どこでも見かけましたが、多くは江波車庫に所属していました。この当時、570形の両数は減ってしまいましたが、6系統によく運用されており、江波車庫に行けば必ず会えました。

 

4.584 (江波:1994年7月)

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 この日は、江波車庫で584,587の綺麗な写真が撮れました。この2両はどちらもL車を前身とする車両です。

 

5.587 (胡町~八丁堀:1993年8月)

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 6系統は江波~広島駅前間を走るので、広島の繁華街を走る570形を時々見ました。かつては、これが当たり前の光景でしたが、数が減ってしまい走行撮影は難しくなっていました。

 

6.582 (宇品:1993年8月)

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J車を前身とする582は、1両だけ千田町車庫の所属でした。よって、この車両は1系統、3系統に充当されるので、宇品や己斐にも現れました。

 

7.587 (江波:1994年7月)

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 この頃の570形は在籍していた3両ともオリジナル塗装でした。かつては、第97話でもお伝えしましたが、とんでもない塗装の広告車が多数いました。さすがに3両にもなれば、希少価値が出て広告車というわけにはいかなくなった様です。