ところで、近鉄伊賀線は近鉄養老線と共に2007年に大近鉄から追い出されてしまいました。現在はそれぞれ伊賀鉄道と養老鉄道となりましたが、伊賀鉄道は追い出された腹いせなのか、もう近鉄には頼らず、いきなり元東急1000系を購入して、あたかも近鉄に無言の抵抗をしているかの様にも見えました。
1.ク765+モ865 (比土~上林:1995年8月)
近鉄伊賀線は、関西本線の伊賀上野と近鉄大阪線の伊賀神戸を結ぶ16.6㎞の路線です。もともと近鉄ではなく、大正時代に城下町である上野市中心部と関西鉄道の伊賀上野を結ぶ,、蒸気動力の伊賀軌道が生い立ちの歴史あるローカル私鉄でしたが、大近鉄の合併劇に巻き込まれて現在に至ります。
2.ク765+モ865 (比土~上林:1995年8月)
しかし、この当時は、なぜこんな田舎に電化鉄道が存在するのか不思議なほど人が乗っていませんでした。まあ、早い話が大近鉄の隠れ蓑だったわけですが、結果として、ここも「お荷物!」でした。
3.ク763+モ863 (比土~上林:1995年8月)
さて、860系(注1)について再確認です。
(注1)860系の車歴
・近鉄モ861+ク761~モ865+ク765←近鉄モ821+ク721~モ825+ク725:1961年近畿車輌製
・近鉄モ866+ク766,モ867+ク767←近鉄:モ826+ク726,モ827+ク727:1962年近畿車輌製
860系は前述の通り、元奈良線の車両です。奈良線車両の大型化に貢献した800系一族の増備車820系としてMT2連の貫通タイプで製造されました。当初は奈良線の特急(特急料金不要)の運用にも使用された車両です。しかし、800系もそうですが、大型化とは言うものの中途半端な18m2扉車だったので、20m車の登場であえなく支線に都落ちとなりました。
4.ク765+モ865 (比土~上林:1995年8月)
800系、820系は奈良線引退後は生駒線や田原本線に移籍しますが、伊賀線への投入は1984年以降となりました。これは、伊賀線の近代化で5000系の置き換えによるものですが後回しになった背景には伊賀線が狭軌であることから台車の振り替えが必要だったこともあるようです。860系の履いている台車は南大阪線の廃車となった6800系ラビットカーのものを転用しています。ならば6800系を伊賀線に持ってくれば台車を履き替えることもなく済んだと思いますが、6800系ではデカ過ぎたのでしょうか。それともオールM車のラビットカーは伊賀線では不経済と判断されたのか?
5.ク762+モ862 (比土~上林:1995年8月)
ともあれ、860系は伊賀線にジャストフィットした様です。いつの間にか中古品とは言え冷房化されてローカル線の宿命であるワンマン化もされました。
6.ク762+モ862 (比土~上林:1995年8月)
この頃の伊賀線は、どう見ても採算が取れる路線に思えませんでしたが、860系オンリーの近鉄らしからぬ独立路線の様な存在でした。