ローカル線の回顧録

1970年代後半から2000年頃までのローカル線の記録

号外2024.04.30:唯一であるが故の悩み(その3)

スカイレールの終点である「みどり中央駅」は、山上のお城の様な存在でした。この高台の分譲地には住宅が立ち並んでいますが、スカイレールが赤字と言うことは、あまり利用されていないのかも知れません。もっとも、ここは広島です。すぐ近くにはマツダの自動車工場もあり、恐らくこの辺りにもマツダの従業員が大勢暮らしているかもしれませんので、みなさん自動車通勤かも・・・。そうなると、バスになっても利用者数はさほど変わらないような気がします。

 

1.みどり中央駅時刻表 (みどり中央:2023年8月)

ご参考までに、みどり中央駅スカイレールの時刻表を示します。ちなみに、みどり口駅も同じ時刻です。最短間隔は平日の始発後に2分間隔というのがありますが、このシステムでは最短75秒運転が可能とのことです。

 

2.スカイレール車両 (みどり中央:2023年8月)

それでは沿線撮影です。まずは、みどり中央駅の出発ですが、写真はリニアモーター駆動で加速中の様子です。常用加速度は2.5km/h/sとのことなので、新交通車両よりは緩い加速ですが、この写真を見ると慣性力でかなり車体がつんのめって見えます。

 

3.スカイレール車両 (みどり中街~みどり中央:2023年8月)

そして、この写真はリニアモーター駆動からロープ牽引に切り替わる場所です。速度は20km/h程でしょうか。ロープ牽引となった車両は、H鋼の様な走行桁にぶら下がり走行を続けます。よく見ると車体は台車の下にぶら下がっており、勾配に関係なく水平を保つ構造です。やはり構造的に懸垂型モノレールです。台車は2軸4輪の走行輪とガイド輪で構成され、いわゆる付随台車です。ウレタン車輪ですが意外と振動はなく、走行音も静かです。この台車の上部にそびえるツノはロープを掴む装置が付いています。

 

4.スカイレール車両 (みどり中街~みどり中央:2023年8月)

みどり中央を発車した車両は公園の上を通って勾配を下ります。写真を撮るため、スカイレールを追い掛けて、年甲斐もなく、この付近の階段を走って上がったり下がったり、もうヘロヘロでした。なぜかスカイレールの有難さを感じました。

 

5.スカイレール車両 (みどり中街~みどり中央:2023年8月)

この付近は地上からかなり高い位置を走ります。公共交通機関と言うよりも、遊園地のアトラクションの様です。この公園で撮影をしていたら、お出かけ風の若い女性が歩いて坂を下りて行きました。瀬野駅まで1㎞ちょっとですが、下り坂は苦にならないのか、それとも片道料金をケチっているのか?

 

6.スカイレール車両 (みどり中街~みどり中央:2023年8月)

スカイレールの最終運行は本日(4月30日)の正午ですが、すでに代替輸送となる電気バスによる路線バスは3月30日から運転を始めています。バスの方がきめ細かくバス停が設置されますが、これが支障なく便利だとすれば、スカイレールは何だったのか、と言うことになりますが、果たしていかがなものか。

 

7.スカイレール車両 (みどり中街~みどり中央:2023年8月)

スカイレールが導入されて26年経ちますが、この街で暮らす方々も、それだけ歳をとったことになります。恐らく高齢化が進んでいます。自動車社会とはいえ、免許返納を推奨する現在、高齢者の足の確保が必要ですが、きめ細かな旅客輸送となれば、やはりバスに軍配が上がるのか?。そう考えると、この街の交通手段は今が転換期なのかも知れません。

まあ、どうであれスカイレール廃止は大変残念なことです。この様な事例が新規計画の妨げにならないことを願います。そして、世界のどこかで再登場することを期待しましょう。

おわり。