ローカル線の回顧録

1970年代後半から2000年頃までのローカル線の記録

第792話 1992年近鉄(内部・八王子):ナローゲージの春

1992年5月のGWは、中京地区のローカル私鉄早回りをしました。その初日は朝から三岐鉄道を訪問し、その後、北勢線に行く予定でしたが、予定を変更してちょっとだけ内部・八王子線をのぞきに行きました。

 

1.ク162+サ122+モ262,ク115 (内部:1992年5月)

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 内部・八王子線1984年に訪問して以来8年ぶりでした。北勢線にはよく出向きましたが、なぜ内部線には8年間もブランクがあったのかと言うと、8年前は内部・八王子線が近代化された直後だったので、その後、車両は全く変わっておらず、車両も面白くなかったからです。

 

2.ク162+サ122+モ262 (内部:1992年5月)

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 内部・八王子線の車両近代化は、モ260形とク160形の新造による2~3両固定編成化でした。この近代化では、3連の中間車となるサ120形と先頭車のク110形が旧型車からの改造となり、このあたりの変遷には興味深いものがありますが、全車種をひっくるめて、260系(注1)に属します。

 

3.ク115 (内部:1992年5月)

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 この車両が旧型車改造のク110形115です。前面スタイルは新車と同じですが、側はバス窓です。見た目が、いったいいつの時代の車両なのか奇妙な風貌ですが、元は三重交通時代に新製された半鋼製の軽便客車で、全長わずか11mです。

 

4.ク162+サ122+モ262 (内部~小古曽:1992年5月)

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 (注1)260系の車歴

①モ260形(新製)

近鉄モ261,262:1982年近畿車輌

近鉄モ263~265:1983年近畿車輌

②ク160形(新製)

近鉄ク161,162:1982年近畿車輌

近鉄ク163:1983年近畿車輌

③ク110形(改造)

近鉄ク114←近鉄サ131←三重サ361:1954年ナニワ工機

近鉄ク115←近鉄サ133←三重サ363:1954年帝国車輌製

④サ120形(改造)

近鉄サ121~123←近鉄モニ227~229←三重モニ227~229:1949年日本車輌

近鉄サ124←近鉄サ132←三重サ362:1954年帝国車輌製

 

5.ク161+サ121+モ261 (内部~小古曽:1992年5月)

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 新製されたモ260形、ク160形は、北勢線のモ270形、ク170形と同クラスの15m車ですが、構体設計が見直されて1~2tの軽量化がなされています。そして、これらの新製車グループは、四日市あすなろう鉄道となった現在もリニューアルされて健在です。

 

6.ク162+サ122+モ262 (内部~小古曽:1992年5月)

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 しかしながら、あれからちょうど30年経った現在、この路線が健在であることが不思議というか奇跡的です。近鉄の隠れ蓑であった時代はさておき、この規模の小路線が単独で生き残ることは大変なことです。昨今は第三セクターであっても、採算が取れなくなったら、無情にも廃止されるケースが当たり前になって来ました。ナローゲージという特殊な規格の路線ですが、いつまでも頑張ってもらいたい路線です。