今回の熊本電鉄は、「お宝」の話題からです。
路線短縮時に古い車両を一掃した熊本電鉄ですが、1両だけ旧型車を車庫内の入換機として残していました。
1.旧モハ71 (北熊本:1993年9月)
これが「お宝」の旧モハ71(注1)です。この時点では車籍はなく、機械扱いになっていましたが、現役当時のままで動態保存されている様でした。
2.旧モハ71 (北熊本:1993年9月)
この車両は、遡ればJR可部線の前身である広島電気の車両で、国鉄に買収された以降も活躍した買収国電であり、原爆の被害を免れた奇跡の車両です。熊本電鉄に来たのは原爆で被災しなかった3両でした。国鉄を1953年に廃車となり、モハ71,72が1954年、モハ73が1957年に熊本電鉄入りしましたが、モハ73は1978年、モハ72は1980年、モハ71は1981年に廃車となり、モハ71のみが残存しました。
3.旧モハ71 (北熊本:1993年9月)
(注1)モハ71の車歴
・熊本モハ71←国鉄モハ90005←広浜8←広島電気4:1928年日本車輌製
4.モハ5101+モハ5102 (北熊本~亀井:1993年9月)
さて、現役車両は全く面白くない熊本電鉄ですが、この日は北熊本周辺で沿線撮影を行いました。在籍車両は全て共通運用となっており、2連が4本、単行が2両の陣容です。運行系統は藤崎宮前~御代志と上熊本~北熊本の2系統で、北熊本で両系統の列車が接続するダイヤで、現在も変わっていません。上熊本~北熊本間は単行運転が主体のようですが、藤崎宮前~御代志間は2連または単行運転でした。
5.モハ5103 (北熊本~亀井:1993年9月)
この写真は、藤崎宮前~御代志間に充当されたモハ5103の単行運転です。5100形は全車両運化されていたので、適宜連結運転されていた様です。しかしながら、この電車の東急時代の編成運転を知る者にとっては、何とも異様な単行です。
6.モハ5105 (打越~北熊本:1993年9月)
この複線区間は、手前の列車が走っている線路が上熊本線で、向こう側は藤崎宮前方面への本線です。上熊本線はその昔、藤崎宮前~上熊本間の路面電車でした。これが熊本市電の路線となり、新たに熊本電鉄が北熊本~上熊本間の上熊本線を新設したものです。この上熊本線の開通で国鉄との貨物輸送が可能になりましたが、熊本市電化された方は市電の路線縮小化で1970年に廃止となりました。
7.モハ5105 (池田~打越:1993年9月)
上熊本線は、3.4kmの単線で常時単行がピストン運行されていました。当時は上熊本がまだ発展途上だった様でしたが、最近は徐々に乗客は増えているようなので、遠回りですが上熊本線を改軌してLRT化するのが手っ取り早い感じがします。