引き続き1993年の上熊本線の様子です。
ところで上熊本線は、実は支線ではなく上熊本~御代志間が本来の本線で、藤崎宮前~北熊本間が支線だそうです。しかし、上熊本~御代志間は直通する列車はなく、上熊本~北熊本間を便宜上、上熊本線と呼んでいる様です。
1.モハ5105 (打越~池田:1993年9月)
上熊本線は終戦後の1950年に開業した貨物輸送用に造られたような路線です。距離は短いですが、橋梁やトンネルもある変化に富んだ路線ですが、沿線は宅地化が進み、なんとか上熊本線の活性化が望まれるところです。
2.モハ5105 (打越~池田:1993年9月)
一方、北熊本~藤崎宮前間の路線ですが、こちらも複雑な歴史がありました。そのあたりの経緯は、RM LIBRARY 25 「熊本電気鉄道釣掛電車の時代」に集約されており、大変興味深い内容です。
3.モハ5101+モハ5102 (藤崎宮前~黒髪町:1993年9月)
これはかつて、この鉄道が路面鉄道で開業した名残りですが、この路面区間は、いわゆる軌道法区間ではなく、一般の路面電車の併用軌道とは違って、軌道敷にはバラストが敷かれており、車道とは区分されています。
4.モハ5101+モハ5102 (藤崎宮前~黒髪町:1993年9月)
しかし、わずかな区間ですが自動車と電車が併走するシーンが見られます。かつて江ノ電の極楽寺~稲村ケ崎付近の軌道と同じような裏道の雰囲気です。
5.クハ502+モハ501 (藤崎宮前~黒髪町:1993年9月)
ここから奥は、線路が道路から離れて路面区間は終わりですが、かつては道路に沿って引き込み線が分岐しており、その先には車庫があったそうです。そして、その車庫への引き込み線が元々の本線でしたが、1924年に現在の路線に変更されました。しかし、車庫が北熊本に移転した1964年まで引き込み線が存在していたそうです。
6.クハ502+モハ501 (藤崎宮前~黒髪町:1993年9月)
この頃の熊本電鉄の車両は、500系、モハ5100形共に非冷房でした。カルダン車のモハ5100形は構体構造上、冷房化できなかったそうですが、500系はそろそろ先が見えていたので冷房化されなかったのかも知れません。
7.クハ502+モハ501 (藤崎宮前~黒髪町:1993年9月)
さて、現役車両は全く面白くなかった熊本電鉄ですが、吊掛車の500系は1996年から導入された冷房車の元都営地下鉄6000系に置き替わり、最後まで残ったモハ601も2000年に廃車されました。その後は元東京メトロの電車が導入され、益々面白くなくなりましたが、果たしてLRT化の話しはどうなるのでしょうか?もし実現可能なら、熊本電鉄と熊本市交の相互乗り入れを見てみたいものです。