ローカル線の回顧録

1970年代後半から2000年頃までのローカル線の記録

第752話 1993年熊本:LRTを夢見る(その3)

熊本電鉄の5100形はカルダン車でしたが、500系は吊掛車でした。しかしながら、500系はカルダン車の5100形と対等に使用されており、この時点ではまだまだ主力車でした。

 

1.クハ506+モハ505 (北熊本:1993年9月)

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 500系は元静岡鉄道モハ100形です。

この車両は元々Mc2連で、1977年に2編成、1979年に1編成を譲受しましたが、1980年~1982年に偶数車がTc化されてMT2連となりました。しかし、Tcはパンタが付いたままなので、外観はMc2連当時とかわりません。なお、モハ503+クハ504が事故に遭い、クハ504が休車となっている間の1987年にモハ503が両運化されてモハ601になってしまいました。

 

2.モハ601 (北熊本:1993年9月)

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 これは元モハ503だったモハ601です。写真のこの顔は新設された妻面ですが、非貫通の3枚窓を踏襲しました。他の500形よりも赤帯が少々低い位置です。この当時、相棒だったクハ504は復旧途上で放置されていましたが、結局復活しませんでした。なお、モハ601は、当初は2パンタ搭載でしたが、この時点では1パンタになっていました。

 

3.クハ506+モハ505 (北熊本~亀井:1993年9月)

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 500系(注1)は、元静岡鉄道お手製のモハ100形です。日立電鉄にも同型車が1編成いましたが、そちらはこの年に廃車となり、熊本に残るのみとなりました。この500系の導入で熊本電鉄は一挙に旧型車が淘汰されてしまいましたが、この車両の臓物は結構古い車両からの流用でした。

 

4.クハ502+モハ501 (堀川~新須屋:1993年9月)

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 (注1)500系の車歴

・熊本モハ501←静岡クモハ103:1963年静岡鉄道製

・熊本クハ502←熊本モハ502←静岡クモハ104:1963年静岡鉄道製

・熊本モハ601(両運化)←熊本モハ503←静岡クモハ105:1963年静岡鉄道製

・熊本モハ504←静岡クモハ106:1963年静岡鉄道製(1993年時点事故休車中)

・熊本モハ505←静岡クモハ107:1965年静岡鉄道製

・熊本クハ506←熊本モハ506←静岡クモハ108:1965年静岡鉄道製

 

5.クハ502+モハ501 (北熊本~亀井:1993年9月)

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 500系501~504の前身である静岡鉄道モハ103~106は、もともと貫通タイプの両運車でした。これを静岡時代に片運2連化したものが熊本に来ました。よって、モハ601は、モハ503を再び両運車に戻したことになりますが、幸い連妻の形状は元の両運時代の丸妻のままだったので、再両運化された顔は全く違和感ありません。

 

6.クハ506+モハ505 (北熊本~亀井:1993年9月)

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 この編成は元々片運2連で製造された車両です。よって、連妻は平凡な平妻形状なので、この編成が事故に遭遇していたら、モハ601とは違った顔の両運車が出来ていたかも知れません。