ローカル線の回顧録

1970年代後半から2000年頃までのローカル線の記録

第400話 番外編:趣味は別腹!あの頃を顧みる

当ブログも第400話となりました。マンネリ化してきましたが、過去の記憶を辿りながら、坦々と報告することも使命と思い、今後もネタが尽きるか、私がくたばるまで続けて行きたいと思います。

ところで、このブログは私が接してきたローカル私鉄を回顧するものですが、言い代えると自分自身の回顧そのものです。いままで自身を回顧したことなどありませんでしたが、ブログを通じて「あの頃の自身」が蘇ります。そして、かつての自身の行動があまりにもエネルギッシュであったことをつくづく感じます。

 例えば、私が若かった頃は仕事も非常にハードでした。毎月100時間以上の超過勤務が当然のように続き、現在なら36協定に抵触して吊るし上げに遭いそうなほどブラックな働き方をしていました。まあ世間ではそれが当たり前だった時代でしたが、それにも拘わらず休みがあれば鉄道写真を撮り歩き、夜な夜なマニアックな模型も作っていました。決して余裕があったわけではなく、趣味は別腹だったというのが結論です。

人間、好きなことに没頭しているうちは、不眠不休で飲まず食わずでも死にません。むしろ好きなことに没頭することで活性化されます。しかし好きなことだけやっていると人間はダメになってしまいます。適度なストレスが必要と思います。

さて、今回も恒例となりました100回節目の番外編ですが、今回は不眠不休でもへこたれることなく、模型作りにこだわっていた頃を顧みる話題です。

 

1.太平洋炭鉱8t機 No.3号の外観

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ごく一部の方にはお馴染みの、この模型の製作は1990年頃から具体化しました。実際に作ろうと思ったのは1980年の高校2年の時なので、実に10年間足踏み状態だったわけですが、1986年に渡道した際に実物の採寸が叶い、1/80の形式図を描けたことが製作の転機となりました。

 

2.太平洋炭鉱8t機 No.3号と坑外人車の形式図

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3.太平洋炭鉱8t機 No.10号の形式図

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4.太平洋炭鉱8t機 No.5号とワークカー+人車の形式図

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この形式図は、TMS639号に掲載頂いたものと同じ手描き図で、採寸を元に描いた図面です。この図面化によって模型製作の可否が決まるわけですが、1/80なら当時入手できるモーターでも動力化が可能と判断しました。そこからが実際のスタートのはずでしたが、社会人となった私に降りかかったのは、模型なんか作っている暇がないと言う現実でした。

 

5.太平洋炭鉱8t機 No.10号の外観

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模型作りには、まとまった時間が必要ですが、長期出張あり、休日出勤あり、夜勤あり、会社は容赦ありません。そんな状況下で、走行装置を実現するため3年程悩み、気が付けばもう平成になっていました。

 

6.太平洋炭鉱8t機 動力装置設計図

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 これは 当時描いた動力装置の設計図です。物が小さいので「収まる大きさ」を精査するには作図するしかありません。ただし問題は、図面通りの精度で作れるかです。こんなおもちゃですが、0.1㎜でも狂うとまともに走ってくれません。

当時私が使っていた工具は、ヤンキーバイス、糸鋸、ピンバイス、ポンチ、細密ドライバー、ラジオペンチ、半田ごて、細密組やすり・・・こんな程度でした。

工具を買うお金がなかったのが本音ですが、工具の種類も今ほど豊富ではなく、治工具作りが重要で、加工にはいろいろと悩みが尽きませんでした。

 

7.太平洋炭鉱8t機 動力装置メインフレーム設計図

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それでも暇をみつけては、動力装置のイメージを試行錯誤して、何とか図面化しました。図面ができれば、あとは製作あるのみですが、ここからは、いよいよ持久戦でした。まとまった作業時間を確保するため、製作は専ら夜中となり、不眠不休の日々が続きました。

 

8.太平洋炭鉱8t機 動力装置の外観

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そして、ようやく完成したのが、写真の動力装置です。この動力装置は、No.3号、No.10号ともに共通です。欲張って一挙に3台分を同時に作りましたが、調子が良かった2台が陽の目を見ることになりました。

 

9.太平洋炭鉱8t機 No.3号の外観

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 動力装置は車体のボンネット部分に収まるように製作しました。No.3号、No.10号は上回りがほぼ同じサイズだったので、動力装置も共通で作れましたが、車体が小さいNo.5号だけはどうしても動力装置が収まりませんでした。

 

10.太平洋炭鉱8t機 No.5号の外観

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 No.5号は他の8t機と違い、ボンネットの高さが低く、キャブもひとまわり小さいので、仕方なく1軸駆動の動力装置を別に作りました。

 

11.太平洋炭鉱8t機 No.5号の動力装置

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 これがNo.5号用に製作した動力ユニットですが、パーツはお釈迦になった動力装置から転用したました。このモーターの傾きが微妙に車体とジャストフィットです。しかし、1軸駆動なので、進行方向で走りっぷりに差があります。特に牽引力の差は顕著ですが、幸いNo.5号はワークカー専属の牽引機だったので、とりあえずは問題なしです。