ローカル線の回顧録

1970年代後半から2000年頃までのローカル線の記録

第492話 1990年片上:山陽路ローカル私鉄の落日

1987年に片上鉄道が廃止を表明し、その後地元の存続対策協議会の働きにより、存続に向けた3年間の試行期間が決定され、1991年3月までは生き延びることとなりました。この間に片上鉄道の観光化などの具体的な動きがあったもののなかなか結論が出ず、間もなく3年が経とういう1990年の年末に片上へ出向きました。

 

1.キハ312 (備前矢田~備前福田:1990年12月)

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 この頃の片上鉄道は既に貨物輸送もなくなり、旅客鉄道専業となっていました。本来であれば、廃止を表明した1987年に廃止されていてもおかしくない状況でした。3年間の猶予はあったものの、結局この撮影の直後に観光化は断念され、1991年3月末廃止が決定されました。ところが、1991年3月になって、鉄道廃止後の代行輸送の手配が間に合わず、廃止をこの年の6月末に延期するハプニングがあり、正式な廃止は1991年7月1日でした。

 

2.キハ303 (河本~天瀬:1990年12月)

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前回の片上鉄道訪問は、1985年の年末でした。その時の様子は、第170話~第174話で報告しましたが、それからちょうど5年が経過していました。この間に鉱石輸送がなくなり、その時点で鉱山鉄道の使命は終わっていました。そして残ったコンテナ輸送も肥料輸送も1988年にはなくなり、その後は旅客輸送のみとなっていました。幸い旅客車両は変わらず安泰でしたが・・・・。 

 

3.キハ303 (河本~備前矢田:1990年12月)

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この日は、キハ303が元気に走っていました。年末なのでしめ飾りを付けていました。この日運用されていたのは、キハ301、312、802の3両でした。お目当てのキハ702はお休みでした。

 

4.キハ303 (河本~天瀬:1990年12月)

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この辺りの吉井川は、神秘的なエメラルドグリーンでした。これは鉱物系の影響なのか、なんとなくこの辺りも鉱山を感じます。

 

5.キハ303 (河本:1990年12月)

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 それにしても、一番年寄りのキハ303は一番元気なようでした。もう気動車として健在な元国鉄キハ41000形の生き残りは、このキハ303だけになってしまいました。鉄道廃止後も末永く保存されることを願うばかりでした。

 

6.キハ802 (備前塩田~備前福田:1990年12月)

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 今回の撮影は2日間かけて行いました。この時も学生時代にバイト先で知合った鉄道同好者の友人と一緒でした。初日はレンタカーで午前中から岡山電軌を訪問し、その後は西大寺や下津井の保存車巡りをしていたので、片上鉄道の撮影は午後からとなり、撮影時間はあまりありませんでした。冬は陽が短く、山間部はあっという間に日没です。

 

7.キハ802 (杖谷~備前塩田:1990年12月)

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 思えば片上鉄道との出会いは、1973年に和気駅に停車中のキハ700形を山陽本線の客車特急「しおじ号」の車中から見かけた時でした。それから18年が経過し、いよいよ山陽路ローカル私鉄の落日です。