ローカル線の回顧録

1970年代後半から2000年頃までのローカル線の記録

第815話 1993-94年広島:広電の神戸市電(その2)

この頃の元神戸市電は、広電で一番古い570形に廃車が出ていましたが、1100形と1150形は全車健在でした。いずれの車両も冷房化されており、主力的存在でしたが、新車の700形、800形の増備で、570形や元大阪市交の750形がずいぶん減ってしまい、1100形、1150形の存在も時間の問題の様でした。

 

1.1103 (原爆ドーム前~紙屋町:1994年5月)

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 広電1150形については、第98話で車歴など簡単に触れましたが、1100形についてはまだ触れていませんでしたので、少し補足します。

1100形(注1)は、1971年に元神戸市電1100形全5両を全て譲受したものです。車号もそのままで、すでにワンマン化もされていたので、たいした改造もなく運用に就きました。

 

2.1103 (宇品:1994年5月)

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 (注1)1100形の車歴

・広電1101~1103←神戸市1101~1103:1954年神戸市交製

・広電1104,1105←神戸市1104,1105:1960年川崎車輌

初神戸市交では、1100形を3両製造し、その後はカルダン車である1150形に製造を移行しました。しかし、1150形は8両も量産されたのにカルダン化は大失敗に終わり、全車を1100形と同性能の吊掛車に改造するといった、大変残念でもったいない結果となってしまいました。よって、その後の新製は、再び1100形に戻って2両の1104,1105が増備され、これが神戸市電の最終新造車になりました。

 

3.1103 (皆実町六丁目御幸橋:1994年2月)

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 広電では、神戸市交から最も新しい車両をごっそり頂いたわけですが、全車が吊掛車だったのは、当時カルダン車を嫌っていた広電にしてみれば好都合だったようです。

 

4.1103 (海岸通~向宇品口:1994年6月)

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 そんな経緯もあり、1100形も1150形も同じ車両と言ってもよい状態で、広電にやって来ました。もう同じ形式にまとめても良さそうに思いましたが、やはり広電は神戸市電に敬意を示したのかも知れません。

 

5.1105 (皆実町六丁目御幸橋:1994年2月)

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この1105は、1965年製の神戸市電で最後の新車でした。神戸では路線廃止の為11年間しか活躍しておらず、広島では事故廃車となった2001年まで25年間活躍しました。これだけ働けば、もう神戸の電車ではなく広島の電車です。

 

6.1103 (向宇品口~海岸通:1994年6月)

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 1100形は2000年から廃車が始まりました。そして最後まで在籍した1103は休車の後、2003年に廃車となります。

 現在1100形は全車引退しましたが、最後まで残った1103は神戸に里帰りして保存されています。それが一番良いことだと思います。