ローカル線の回顧録

1970年代後半から2000年頃までのローカル線の記録

第834話 1994年阪堺:ナニワの新喜劇的ノリ(その5)

今回は、阪堺電車の広告車ではなく、裏方の話題です。

たいていの路面電車には、昔ながらの電動貨車などが保線用や入換用として残っているものです。阪堺電車にも「お宝」はありました。

 

1.デト11 (我孫子道:1994年10月)

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 それがこの奇妙な電車です。デト11(注1)と称するこのゲテモノは、車籍もありました。この電車は、このスタイルと言い、その存在自体が「新喜劇的ノリ」です。

 

2.デト11 (我孫子道:1994年10月)

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 (注1)デト11の車歴

阪堺デト11:1952年帝国車輌製

見た感じ得体の知れない改造車の様ですが、実は最初からこのスタイルです。意外にも1952年帝国車輌製ということで、素性がはっきりしていました。しかしゲテモノです。さすがに保線用車両の位置づけなので、昼間はほとんど走らなく、当然広告も付いていませんが、たまに花電車に活用された様です。

 

3.デト11 (我孫子道:1994年10月)

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 こういう車両はボリュームがないので、どう撮れば実感が伝わるのか、撮影が難しいです。足回りがやたらと立派に見えます。ブリル台車を履いていますが、これは新調したものか?どの程度活躍したのか不明ですが、2000年に除籍となり、その後も車庫内の入換機名目で残されているようです。

 

4.TR1、TR2 (我孫子道:1994年10月)

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最後の最後は車籍もない車両達ですが、これこそ「新喜劇的ノリ」で造られた様な、なんとも滑稽な車両です。いつも専用の寝床に留置されており、我孫子道のマスコットです。 

 

5.TR2 (我孫子道:1994年10月)

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 この車両は一体何に使用されるのでしょうか?足回りは古い2軸車の台車を流用した様に見えますが・・・。これで本線を突っ走るのは結構楽しそうです。

 

6.TR1 (我孫子道:1994年10月)

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 そして、これは恐らく架線点検車の様です。折れ曲がったドローバーは何を連結するものなのか?お隣の低い平トロを連結するのにつかわれる様な・・・。

 

7.TR1の背面 (我孫子道:1994年10月)

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 後ろから見ると、梯子の様な階段が付いています。板枠の台車枠は、何かの流用なのか興味をそそります。

 

8.使用中のトラバーサ (我孫子道:1994年10月)

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 これは、車両ではありませんが、路面電車の車庫に付き物のトラバーサです。ふた昔前の公衆電話ボックスのようなキャブが愛嬌です。

今回のシリーズでは、阪堺電車の車庫を中心に1994年の在籍車両をお伝えしましたが、その後、私は大阪に転勤となり、阪堺電車とはディープなお付き合いが始まります。