ローカル線の回顧録

1970年代後半から2000年頃までのローカル線の記録

第421話 1990年富山地鉄:車庫に潜む縁の下のベテラン

1990年のGWは久々に北陸地方のローカル私鉄早回りを行いましたが、富山地鉄で雨に降られてしまいました。

この頃の富山地鉄は、まだ京阪3000系が導入される前で、辛うじて吊り掛け車も残っていましたが、雨に降られてはどうしょうもありません。沿線撮影も行いましたが、気合が入らず、場所を転々としながら稲荷町の車庫を訪問しました。

天気が悪くともさすがにGWなので、観光鉄道の富山地鉄はかきいれ時です。よって車庫内は空っぽでしたが、普段は表に出て来ない車両がよく見えました。今回は車庫に潜む縁の下のベテラン車両の話題です。

 

1.デキ12021 (稲荷町:1990年5月)

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 まずは、デキ12021です。この機関車は貨物輸送が廃止された以降は完全に失業状態で専ら保線用でしたが、いつも綺麗に塗装されており、このパステルカラーがなんとも良く似合います。

 

2.デキ12021 (稲荷町:1990年5月)

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 この車両は、元々黒部第4発電所の建設資材運搬用に関西電力の所有車として、1958年に導入された東芝製の30t機でしたが、発電所の工事が完成した後に富山地鉄の所有となり現在に至ります。デキ12021の車歴は、第193話を御覧ください。

 

3.デキ14731 (稲荷町:1990年5月)

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 デキ14731(注1)は1948年に貨物用に導入された東芝製戦時型の40t機です。こちらも貨物輸送亡き後は完全失業状態でしたが、スノープローを付けて除雪車として活路を見出しました。デキ12021とは対照的な武骨なスタイルで、塗装も黒一色です。相当汚れており、デキ12021とは雲泥の差でした。もう少し何とかしてあげたいところです。

(注1)デキ14731の車歴

富山地鉄デキ14731←富山地鉄デキ31:1948年東芝

 

4.モテ10001 (稲荷町:1990年5月)

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 モテ10001は、1986年訪問時にも稲荷町車庫で撮影しましたが、今回は変わり果てた様相に絶句です。何と言っても前面に施工された大扉です。良く言えば、往年の国鉄事業用車風とでも言いましょうか?悪く言えば整形手術大失敗です。この車両は旧モハ7541でしたが哀れな姿になってしまいました。そして除雪用のモーターカーが車籍を有するのに、なぜかモテ10001は車籍がありません。

モテ10001の整形手術前の姿は、第194話を御覧ください。

 

5.旧デキ6502 (南富山:1990年5月)

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 場所を移動して今度は南富山の市内線車庫です。ここも1986年訪問時に車庫裏にとんでもない機関車がいましたが、それがこの時もまだいました。この黄色い機関車です。

 この機関車は旧デキ6502ですが、既に車籍がなく、構内の除雪用として残されていました。デキ6502の車歴は、第194話を御覧ください。

 

6.旧デキ6502 (南富山:1990年5月)

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デキ6502は庄川電源開発専用線に導入された車両の成れの果てです。何とも形容しがたい化け物のような風貌です。1986年の訪問時に比べてかなりくたびれていましたが、その後の消息はわかりません。