ローカル線の回顧録

1970年代後半から2000年頃までのローカル線の記録

第533話 1993-94年広島:バブル期の強烈な広告電車

今回はローカル線ネタではありませんが、ご了承願います。

私事ですが、1993年~1994年は仕事の関係で11年ぶりとなる広島に居座ることになりました。当時、私が勤めていた会社は、それまで広島とはあまり接点がなかったためか、広島と言うと「仁義なき戦い」のイメージしかなかったようで、大半の人が「広島=怖い街=関わりたくない」と言った雰囲気でした。確かにそれは否定できない部分もありましたが、私はかつて住んでいたのでへっちゃらです。そんなわけで、抜擢というより白羽の矢が立ち、意味不明な責任者に祀り建てられ、毎週東京と広島を往復する破目になりました。

 

 1.広島を象徴する物騒な看板と601  (宇品:1993年11月)

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 久々の広電との再会は第381話~第388話でお伝えしましたが、その後も休みの日には、つい広電の古い路面電車を追い掛けてしまい、その副産物として多くの写真を撮ってしまいました。写真の中には、興味のない新車が多く含まれましたが、避けていたはずの全面広告電車の写真も少なくありません。私は広告電車が嫌いなのでプリントもしませんでしたが、改めてスキャンデーターの広告電車を見ると、当時の世相が見えてきました。このままスキャンデータを葬るつもりでしたが、今回はバブル期の強烈なカラーリングに塗りたくられた車両に陽を当てることにしました。

ところで、全面広告電車はいつ頃から存在したのか?なんとなく1970年代?大阪万博前後に出始めたような気がします。そして私の場合、全面広告は広電で見たのが最初でした。路面電車は公営が多く、当時は広告電車は少なかったと思いますが、公営ではない広電は当時から強烈でした。第97話でも広電の広告電車についてコメントしましたが、センスのないカラーリングに撮影をためらったこともしばしば。しかし、広告電車のカラーリングはスポンサー任せだそうで、広電さんもスポンサー様のやりたい放題には冷や汗がにじんだのではないでしょうか?

 

1.504 (皆実町六丁目御幸橋:1993年12月)

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さて、1993年当時はバブル景気の追い風で広告電車も、思いっきりブチ切れていました。この電車も・・・。なぜ黄色と黒なのかと思ったら、これは当時の電話帳です。スポンサーは言わずと知れた元電電公社。それにしても、電話帳を全面広告電車にするとは、あまりにも直球勝負です。しかも500形を黄色に塗ってしまうとは、義理も人情もありません。やはり仁義なき広島なのか?

 

2.1152 (宇品:1994年2月)

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黄色と言えば、こんな殺虫剤電車も走っていました。

この電車、一見ドン引きするほど強烈な辛子イエローでしたが、じっくり眺めると意外と似合ってます。シンプルで、見方によっては実に洗練されたデザインです。この色に耐えられたのは電車のスタイルがマッチしたからでしょう。さすがに元神戸のPCCです。もし、この塗装を570形にでも塗っていたら、おそらくバケモノ電車になっていたと思います。

 

3.1105 (宇品:1994年2月)

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これは動物園の広告電車ではありません。

これは広電がドイツのハノーバー市電とお友達になった記念のイベント車です。実際、ハノーバ市電にもこれと同じデザインの電車が走っていたそうですが、これもヨーロピアンスタイルのこの電車だから様になったと思います。ちなみに、この電車は広告電車ではありません。ところで、現在はイラストだらけの電車があちこちに走っています。それらは間違いなくシールの貼り付けですが、この1105は貼りではなく、塗りだったような。よって、この電車は結構な手間とお金が掛かっています。

 

4.1153 (宇品:1994年2月)

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世界的に有名なコーラ電車も登場しました。

でも、広告をよく見ると、この年に広島で開催されるアジア大会のスポンサーであることを言いたいだけの広告電車でした。せっかく有名なコーラの広告なので、もっと羽目を外して欲しいところですが、もう十分に有名なコーラなので目立つ必要もなく、手堅くまとめたのかも知れません。

 

 5.1101 (宇品:1993年8月)

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このカラーリングはどこかの電気屋さんで見たような気がしますが、路面電車にはどうでしょうか?新幹線も造る超大手企業の広告電車です。しかし、会社の宣伝ではなく、ワープロの宣伝でした。広告内容に時代を感じます。

そう言えば、この頃はまだPCなど普及しておらず、ワープロには大変お世話になりました。ちなみに、私が使っていたのは違うメーカーでしたが・・・。

さて、このスポンサーさんは、はるか昔に国鉄とコラボレーションして、「ポンパ号」なる広告電車の先駆け的なことをやっていた会社です。当ブログを御覧の方にも、「ポンパ号」をご存知の方がいらっしゃると思いますが、私の幼少の頃、「ポンパ号」は、カラフルな塗装に塗られて、全国を行脚していました。どうせならこの電車もポンパ塗装にすればウケたかも知れません。

 

6.1155 (宇品:1993年11月)

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どういうわけか、元神戸の広告車が続きますが、こんどは一世を風靡した軽いタバコの宣伝です。元専売公社も民営化を意識してこんなところに投資していました。しかし、「売れ筋」だったので精一杯デザインにお金を掛けた感じがしますが、何かまとまらないデザインです。

 

7.1155 (原爆ドーム前本川町:1994年3月)

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・・・で、反省したのか? 4ヵ月後には塗り直して、こんどはまともになりました。広島よりも神戸で走らせたいデザインです。