ローカル線の回顧録

1970年代後半から2000年頃までのローカル線の記録

第579話 1993年野上:あきらめムード(その4)

野上電鉄は廃止を表明する直前まで設備投資を続けていました。線路脇にはコンクリート製の架線柱が搬入されていましたが、廃止の表明後はそのまま手つかず状態が続いていました。見た目にも必要以上の保守はやっていない様な感じがしました。車両は汚れ、塗装が剥がれてもそのまま。完全に「あきらめムード」でした。

 

1.モハ32他 (日方:1993年4月)

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 そんな状況下で、日方駅ではなにやら土木工事が行われていました。もう撤去工事が始まったのか?この工事が何を意味するのかわかりませんでしたが、もしかするとJR海南駅の高架化工事の絡みかもしれません。この頃JR海南駅の高架化が計画されていました。しかし、そんなことなど野上電鉄には何の関係もありません。

 

2.モハ32 (日方:1993年4月)

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 優雅な明かり窓のモハ32ですが、ところどころ錆が浮いており、このままスクラップになりそうな感じです。モダンな元阪神電車ですが、少々哀れです。

 

3.モハ32の車内 (日方:1993年4月)

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 モハ32の車内はアンティークな雰囲気です。網棚の上が明かり窓になっています。この頃は、車内の撮影も断りなく可能でしたが、何があったのか、やがて車内撮影ばかりか、駅構内や車庫の撮影も禁止されてしまいます。

 

4.モハ31+クハ104 (日方:1993年4月)

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 先ほどまで2連で走っていた、モハ31+クハ104が入庫していました。改めて見ると、こちらもずいぶんくたびれた車両です。

 

5.クハ104+モハ31 (日方:1993年4月)

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 クハ104は雨樋の更新改造を行っていなかったので、オリジナルスタイルを維持していました。この時点で現役で残ったクハは、このクハ104だけです。残った理由は、他のクハよりも状態が良かったからだと思います。しかし、その雨樋も朽ちて来ました。

 

6.モハ23 (日方:1993年4月)

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 元阪急1形の車体を持つモハ23は、完全に予備車になってしまい、もう走ることはなさそうです。実際この車両の走行を見る機会がありませんでした。

野上電鉄では補助金をあてにして、密かに新車の計画をしていたとの、うわさ話を耳にしましたが、もう補助金も断たれてしまい、新車どころか、最後までどうやり過ごすかを模索する日々だったのではないかと思います。