ローカル線の回顧録

1970年代後半から2000年頃までのローカル線の記録

第611話 1991年江ノ島:古き佳き時代の終焉(その2)

極楽寺車庫では、しばらくすると車両の入換が始まりました。

 

1.デハ302+デハ352 (極楽寺:1991年4月)

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 まずは、302編成が検修庫の外に出て来ました。この場所は、狭い車庫内で唯一まともな撮影ができる留置線です。早速形式写真を撮影しましたが、302編成の形式撮影はこれが初めてです。とりあえず302編成は廃車対象ではなさそうです。

 

2.デハ301+デハ351他 (稲村ケ崎極楽寺:1991年4月)

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 車庫内の列車転線中に、本線を301編成がやって来ました。この301編成は廃車対象の可能性が高く、一番気になっていましたが、これも大丈夫そうです。

 

3.デハ2002、デハ306 (極楽寺:1991年4月)

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 この日は本線撮影の後、夕方に車庫を見に行くと、こんなツーショットが・・・。

なんと「2002編成のこんにちは」と「306編成のさようなら」です。犠牲となるのは306編成でした。まあ想定内の廃車ですが、やはりゲテモノから先に消えてゆく運命のようです。

 

4.デハ1002+デハ1052+デハ2001+デハ2051 (稲村ケ崎極楽寺:1991年4月)

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 それでは、この日の日中の撮影をお伝えします。いつもの様に極楽寺から江ノ島方面に歩きながらの撮影です。最初にやって来たのは吊掛車の1002編成と最新のカルダン車である2001編成のコンビです。今後はこの様な編成が江ノ電のスタンダードになるのでしょうが、面白くありません。

 

5.デハ301+デハ351 (七里ヶ浜稲村ケ崎:1991年4月)

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 301編成がやって来ました。しかしこの場所はご覧の通りの邪魔なフェンスが・・・せっかくの301編成でしたが、足回りがフェンスに隠れてしまいました。毎回同じような失敗を繰り返してします。

 

6.デハ108 (江ノ島:1991年4月)

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 江ノ島にはいつものデハ108が居ました。塗りたてで安泰のようです。デハ108はすでに一般の運用からは外れてイベント車として余生を送っていましたが、極楽寺の車庫が手狭となり江ノ島の留置線に放り出されてしまいました。露天留置はすぐに車両が朽ちてしまうので心配でした。

 

さて、今回の訪問でゲテモノ306編成が廃車になることを知りましたが、306編成で気になっていたのが台車です。

 

7.306編成(デハ306+デハ356)連接部の台車 (極楽寺:1987年4月)

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306編成は、元々デハ201,202という両運車でした。これを2両連結化して更に連接化されて生まれたのが306編成ですが、台車は201,202のものを流用しているのかと思っていました。ところがこの連接台車は枕ばねがコイルバネでオイルダンパ付きの見るからに改造台車です。恐らく連接化された時点で他の連接車同様に台車の改造を行ったものと思われますが、問題は先頭台車です。

 

8.デハ356先頭台車 (極楽寺:1987年4月)

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これがデハ356の先頭台車ですが左側の軸箱脇にある銘板には新潟鐵工所と鋳込んでありました。調べるとこの台車は新潟鐵工製のNDE-1というブリルモドキです。しかし、なぜ新潟鐵工製の台車を履いているのか?

この車両は車体こそ元王子電軌(都電荒川線の前身)のものを流用していますが、その前は戦前の納涼電車を1949年に改造したもので、改造の際に新製台車に交換されたとのことです。ところが、その新製台車は大改造されて304編成更新車に転用となりました。そうなると、このデハ356の台車は304編成の更新前のデハ106もしくはデハ109が履いていたものかも知れません。デハ106,109はともに新潟鐵工製の車両だったので、辻褄が合います。しかし定かではありません。