ローカル線の回顧録

1970年代後半から2000年頃までのローカル線の記録

第928話 1994年立山砂防:通りすがりの者です。(その2)

なにやら作業が始まったので、現場にお邪魔しました。重機もなくどうやって橋桁を渡すのか、興味津々で見ていると、沢の両岸にワイヤーロープが渡されていました。そのワイヤーロープですが、両端は適当に太そうな木に結ばれており、どうやら、このワイヤーに橋桁を吊るす様です。

 

1.天鳥橋復旧作業 (天鳥橋:1994年5月)

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橋台のたもとには機関車が1台待機していました。機関車も重機と言えばそうなのかも知れません。もしかして、この機関車で橋桁を引っ張るのか?

 

2.天鳥橋復旧作業 (天鳥橋:1994年5月)

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ワイヤーには滑車が付いたチェーンブロックが2個吊るされています。そのフックに橋桁に巻かれたスリングを吊って、準備完了です。

 

3.天鳥橋復旧作業 (天鳥橋:1994年5月)

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・・・で、機関車で引っ張るのかと思ったら、人海戦術でした。橋桁の重みでワイヤーが大きくたわみましたが、見る見るうちに滑車が転がり、橋桁はゆっくり宙を移動します。重機に頼らない土木作業の原点を学びました。

 

4.天鳥橋復旧作業 (天鳥橋:1994年5月)

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この作業は、毎年恒例なので、皆さん手慣れたものです。恐らく、この軌道が始まって以来、ずっと継承されてきた作業です。

 

5.天鳥橋復旧作業 (天鳥橋:1994年5月)

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橋桁は無事に橋台に着地!しかしながら、こんな作業がこの先何箇所あるのか?水谷はまだまだ遠いです。この調子だと、全線開通は6月でしょうか?

 

6.天鳥橋復旧作業 (天鳥橋:1994年5月)

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そして、設置位置の微調整を行い締結です。あっという間に、橋桁が1本装着されました。一連の作業を撮影していたら、現場のオジサンから「新聞社の人ですか?」と尋ねられました。一瞬返事に困ってしまいましたが、とっさに「通りすがりの者です。」と答えたところ、不思議そうに行ってしまいました。まあ、街中の工事現場なら「通りすがり」もありですが、こんな場所で「通りすがり」とはどういう事なのか?自分でもよくわかりませんでした。

 

7.天鳥橋復旧作業 (天鳥橋:1994年5月)

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この沢の周りには、まだまだぶ厚い残雪が残っていましたが、真冬は10mを越える積雪で、雪崩も頻繁に発生するものと思われます。もし、橋桁を撤去しなければ、雪崩に持って行かれるのでしょう。ここは、崖崩れあり、雪崩ありの超危険地帯です。