ローカル線の回顧録

1970年代後半から2000年頃までのローカル線の記録

第937話 1995年海外編:いきなりシンガポール

今回は、国内の話題ではなく、ローカル線でもありません。当ブログの掟破りですが、海外ネタなので、「海外編」と言う新しいジャンルを設けました。海外アレルギーの方はごめんなさい。

正直、番外編なのですが、スキャンデータを眺めていて目に留まったのが断片的なマレー鉄道の画像でした。これは私が若い頃に仕事で関わった海外案件で、シンガポールへ出張した際に撮影したものでした。この出張は非常に過酷な出張だったので、思い出したくもないのが本音ですが、これも人生の備忘録として、話題に挙げさせて頂きます。

 

1.シンガポールの地図(1995年頃、MRT記載あり)

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もう28年前の1995年のことでした。突然新規案件のプロポーザル対応でシンガポールに出張することになり、先発隊の待つオフィスへ・・・。早朝の日暮里駅からスカイライナーに乗り、成田空港から7時間のフライトで、チャンギ空港に着いのはもう夕方でした。この日はこれで終わりかと思ってホテルにチェックインしたら、すぐにオフィスに来いとのことで、出向いた先は、シンガポールの新しい都市鉄道であるMRT(Mass Rapid Transit)のBishan(ビシャン)と言う所でした。

 

2.南北線C151形 (Bishan:1995年5月)

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「飛んで火に入る夏の虫」とは、私のことでした。オフィスに到着した途端、渡されたのは厚さが10cm程あるTender documentoのコピー。当時は現在の様にネット社会ではなかったので、自動翻訳などあるはずもなく、持参した英和辞典でコツコツと夜中の2時まで・・・。翌朝はオフィスに8時集合!!。1週間と言われて来たのに、気が付けば休みもなく、こんな毎日が2週間続きました。いい加減、心が折れそうでしたが、唯一のお楽しみは、昼休みのコンビニ巡りでした。シンガポールは中国系の華僑の国ですが、意外と多国籍で、コンビニへ行くと、中国や東南アジアの得体の知れないものが豊富で、よく見ると日本製を偽る紛いメーカーの駄菓子等々、全く飽きません。そして毎朝食べていた屋台ラーメンが結構うまい。値段も安くS$2、当時の日本円にして1杯120円程でした。しかし、この2週間は全ての欲を断ち、ある種の悟りを開いた境地でしたが、平均睡眠3~4時間。いい加減睡眠不足でくたばってしまいそうでした。

 

3.南北線C151形 (Bishan:1995年5月)

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まあ、愚痴はこのくらいにして、2週間経ったある日、突然プロジェクト・マネージャーから「今日は入札なので15時頃まで自由にして良い」との、仏の一言があり、奮起して街歩きに出かけました。しかし、「15時頃まで」とは、かなり中途半端な時間です。まずは、何も考えずMRTに乗車です。上の写真はオフィス近くを走る南北線のBishan(ビシャン)駅です。一応地下鉄になっていますが、丘陵地帯なので、トンネルと切通しの混在となっています。ここからMRTに乗ってシンガポール散策です。

 

4.南北線C151形 (Choa Chu Kang~Bukit Gombak:1995年5月)

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そして何も考えずに辿り着いたのが、最果て?のChoa Chu Kang(チョア・チュー・カン)です。トップの地図を見て頂くと、この頃のMRTは東西線南北線の一部が開業しているにすぎませんが、まだ計画途上の路線が多数あり、現在の路線網はものすごいことになっています。ちなみに、Choa Chu Kang(チョア・チュー・カン)は東西線のJurong East(ジュロン・イースト)から分岐する枝線の終点でしたが、現在は南北線の延伸とつながり、シンガポール武蔵野線的な外環路線になっています。

 

5.南北線C151形 (Choa Chu Kang~Bukit Gombak:1995年5月)

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そして、MRTの車両ですが、これは国際入札なので現在は世界中の車両メーカーから購入されていますが、この頃は日本製(川崎重工日本車輌東急車輛近畿車輌)のC151形のみでした。アルミ車で車両長が25mもあり、新幹線並みの大きさです。

 

6.東西線C151形車内 (Boon Lay:1995年5月)

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車内は海外特有のFRP製腰掛で色がオレンジ、グリーン、ブルーの3色でした。広い車内にはスタンションポールが林立していますが、吊り手は通路の中央のみの設置です。吊り手はいかにも日本製です。荷物棚もなく大変スッキリした車内ですが、混んでると掴めるものが少ない様な気がします。ところでシンガポールは風紀の厳しい国です。街中でツバを吐いただけで罰金!。駅や電車内をフラフラしていても捕まってしまいます。この日の私はまさに目的もなくフラフラなので、捕まらない様に要注意。こんな写真を撮るにも緊張しました。