ローカル線の回顧録

1970年代後半から2000年頃までのローカル線の記録

第964話 1992年関西電力(黒薙):秘境探訪(その2)

黒部峡谷に人知れず存在する黒薙支線ですが、歴史は古く、開業は大正15年10月23日で、黒部峡谷では一番最初に開業した路線の一部です。開業の目的は終点の二見にある黒薙第二発電所の建設だった様ですが、その後も発電所の資材運搬用に残されて現在に至ります。路線長は黒薙~二見間1.7kmですが、黒部峡谷において非電化路線であることが大変興味深いです。

 

1.黒薙支線 (黒薙~二見:1992年10月)

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この時、この沿線は正に紅葉のベストシーズンでした。雨さえ降っていなければ、この上ない絶景だったと思いますが、残念ながらこの写真では、実際の状況をお伝えすることができません。

 

2.黒薙支線 (二見~黒薙:1992年10月)

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雨の中を黙々と歩きましたが、この路線はいわゆる盲腸線で、距離が短いので立山砂防のように帰りを気にすることもありませんでした。

 

3.黒薙支線 (二見~黒薙:1992年10月)

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黒薙から30分程歩いて、第4トンネルを抜けると少し開けた交換所が現れました。ここは駅なのか?駅標も何もなく、車両もなく、線路は更に先へ延びていました。このすぐ先に見えるのは第5トンネルです。このトンネル内で線路は2方向に分岐していました。

 

4.黒薙支線二見構内 (二見:1992年10月)

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トンネルは短く、分岐の右方向へ進むとトンネルを抜けて、線路はその先でカーブして終端になっていました。その先は道路になっており、工事車両が何台か見られました。ここが終点の二見なのか?

 

5.黒薙支線二見構内 (二見:1992年10月)

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一方、トンネル内の分岐を左方向に進むと、こちらも線路は唐突に途切れていました。この辺りには建物が密集していましたが、ここが黒薙第二発電所の様です。現在では発電所も新しくなったそうです。結局、どこが終点の二見なのか分かりませんでしたが、この一帯が二見の様でした。何らかのサプライズを求めて歩いてきましたが、何も変わったものはありませんでした。専用線とはこんなものです。

 

6.黒薙温泉の玄関 (黒薙温泉:2014年8月)

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さて、話題は変わりますが、この写真は2014年に宿泊した時の黒薙温泉です。この時はもう軌道を歩くことは禁止されており、黒薙駅から山道を往復しましたが、それほど遠くでもなく、山道も遊歩道化されており、全く苦にはなりませんでした。

 

7.山腹に見える黒薙支線 (黒薙温泉:2014年8月)

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ここには河原の露天風呂があり、大自然を満喫できました。その露天風呂の更に奥の山腹には黒薙支線の線路が望まれました。この時は黒薙支線の探訪は行わず、おとなしく温泉に浸って帰りました。

黒薙支線は、現在も現役路線として存続していますが、線路内の立ち入りは禁止されていますので、ご理解願います。