ローカル線の回顧録

1970年代後半から2000年頃までのローカル線の記録

第963話 1992年関西電力(黒薙):秘境探訪

1992年10月に北陸地方のローカル線早回りを行いましたが、その際に富山で雨に降られてしまい、時間つぶしに黒部峡谷へ出向きました。その状況は第664話~第668話でお伝えしましたが、その際に初めて黒部峡谷鉄道に乗車し、中間駅の黒薙(くろなぎ)で下車しました。黒薙という所がどんな場所なのかも知らず、すぐに引き返す予定でしたが、偶然、黒薙から分岐する関西電力の黒薙支線に遭遇し、時間もあったので急遽、黒薙支線の探訪を行いました。今回は、その探訪の様子をお伝えします。

 

1.DD23牽引の黒薙支線の貨物列車 (宇奈月:1992年10月)

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黒薙支線は、旅客輸送を行わない貨物専用の非電化路線なので、黒部峡谷鉄道ではありません。しかし、その路線に運行される貨物列車は、黒部峡谷鉄道のDD20形が牽引して宇奈月まで直通していました。貨物列車は定期運用なのか、不定期運用なのか不明でしたが、これも偶然、宇奈月で黒薙支線からやって来たと思われる、DD23牽引の貨物列車に遭遇しました。

 

2.黒薙支線周辺図 (引用:国土地理院1/50000地形図「黒部」昭和54年発行)

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黒薙支線は、上図に示したように黒薙温泉の近くを通るため、列車には乗車できませんが、その軌道は黒薙駅から黒薙温泉への短絡通路として利用されていました。よって、その短絡通路から奥地を目指しました。なお、現在は歩行禁止になっています。

 

3.黒薙支線分岐部 (黒薙:1992年10月)

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黒薙支線の分岐は黒薙駅の構内にあり、本線からすぐに素掘りのトンネルに入ります。このトンネルの途中に黒薙温泉へ下る坑口がありますが、現在は閉鎖されており、このトンネルから黒薙温泉へ向かうことはできません。

 

4.黒薙支線 (黒薙~二見:1992年10月)

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さて、この素掘りトンネルを抜けて先に進むと黒薙川の渓谷に沿って軌道は敷設されていました。ちょうどこの付近の谷底辺りが黒薙温泉です。前方には第2トンネルが見えます。

 

5.黒薙支線 (二見~黒薙:1992年10月)

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この路線は、奥地にある黒薙第二発電所の資材運搬用に残されていましたが、冬季は積雪で列車の運行ができないため、全線にわたって、冬季の歩道トンネルが軌道脇に敷設されています。この写真の軌道の右側にコンクリートの内側が歩道トンネルです。

 

6.黒薙支線 (黒薙~二見:1992年10月)

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この短いトンネルは第3トンネルです。

どうしても、立山砂防軌道と比較してしまいますが、こちらは軌間が762㎜なので、やはり立山砂防軌道より全ての設備が大きく感じられます。しかし、一般鉄道に比べれば、かなり小さいです。

 

7.黒薙支線 (二見~黒薙:1992年10月)

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第3トンネルを抜けて振り返って撮影した写真です。季節は紅葉の時期でしたが、天気が悪く、画像も最悪です。

 

8.黒薙支線 (黒薙~二見:1992年10月)

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ここは立派な落石防止用シェッド区間です。まだ新しい様ですが、この様な設備を設けると言うことは、相当重要な路線の様です。