金沢には北陸鉄道の本線的存在の石川総線という路線がありました。
これは石川電気鉄道及び金野軌道を前身とする石川線（鶴来～新西金沢～白菊町）、能美電気鉄道を前身とする能美線（新寺井～鶴来）、金名鉄道を前身とする金名線（鶴来～白山下）の3路線を総称した名称でしたが、1980年に能美線が廃止となり、1984年には金名線の加賀一の宮～白山下が運行休止（手取川橋梁の橋台路盤の老朽化によるもの）となり、復旧することなく1987年には廃止されてしまいました。しかし、能美線も金名線（加賀一の宮～白山下）も晩年は、店じまいの準備段階で列車の運行は朝夕のみだったので、廃止になってもべつに影響はなかった感じです。
１．当時主力車のモハ3740形 （鶴来：1985年9月）
今回は、1985年当時の石川線と金名線の鶴来～加賀一ノ宮間です。 正確に言うと、この時はまだ金名線の加賀一ノ宮～白山下間は廃止されておらず、休止状態でバスの代行輸送を行っていました。石川線の運用は普通と準急が運転されていましたが、日中は殆どが準急でした。準急は停車パターンが2種ありましたが、普通列車の追い越しはなく、ただ停車駅が少ないだけでした。この運用はしばらく続きましたが現在は全列車普通となっています。
２．準急のモハ3742 （鶴来：1985年9月）
石川・金名線の車両は大型車が集結しており、ほとんどは名古屋鉄道からの移籍車です。北陸鉄道は名鉄の傘下でもあったことから、ある時期から名鉄の中古車が集結しました。
当時主力の一員であったモハ3740形（注1）は、元名鉄モ900形で4両在籍していましたが、その前身は知多鉄道が開業時に新製したデハ910形です。北陸鉄道へは1978年に名鉄瀬戸線の地下化で追いやられて来ました。瀬戸線では特急車として転換クロスシートを装備していましたが、北陸鉄道ではクロスシートのままとし、白山方面への観光用を目論んでいた様ですが、金名線は残念なことになってしまいました。
（注1）ﾓﾊ3740形の車歴
・北鉄ﾓﾊ3741←名鉄ﾓ903Ⅱ←名鉄ﾓ905←名鉄ｸ2336←名鉄ﾓ916←知多ﾓﾊ916←知多ﾃﾞﾊ916：1931年日本車輌製
・北鉄ﾓﾊ3742←名鉄ﾓ905Ⅱ←名鉄ﾓ903←名鉄ｸ2333←名鉄ﾓ913←知多ﾓﾊ913←知多ﾃﾞﾊ913：1931年日本車輌製
・北鉄ﾓﾊ3743←名鉄ﾓ904←名鉄ｸ2334←名鉄ﾓ914Ⅱ←名鉄ﾓ918←知多ﾓﾊ918←知多ﾃﾞﾊ918：1931年日本車輌製
・北鉄ﾓﾊ3744←名鉄ﾓ906Ⅱ←名鉄ﾓ902←名鉄ｸ2332←名鉄ﾓ912←知多ﾓﾊ912←知多ﾃﾞﾊ912：1931年日本車輌製
３．モハ3743 （鶴来：1985年9月）
４．モハ3741 （鶴来：1985年9月）
５．モハ3772 （鶴来：1985年9月）
モハ3770形（注2）は元名鉄モ3300形で3両在籍していましたが、その前身は愛知電鉄が特急車として新製したデハ3300形です。北陸鉄道には1967年～1968年に石川総線に導入されましたが、その際に台車や機器類は手持ちの中古品と交換を行っています。外観はモハ3740形と似ていますが、こちらは1.5ｍ大きい18ｍ車です。なお、モハ3771は1970年に事故廃車されました。
（注2）ﾓﾊ3770形の車歴
・北鉄ﾓﾊ3772←名鉄モ3303←愛知ﾃﾞﾊ3303：1928年日本車輌製
・北鉄ﾓﾊ3773←名鉄モ3301←愛知ﾃﾞﾊ3301：1928年日本車輌製
６．クハ1722 （鶴来：1985年9月）
クハ1720形（注3）はモハ3770形と同時に石川総線にやって来た元名鉄モ3350形、ク2340形で4両在籍していましたが、その前身は愛知電鉄のデハ3600形、サハ2040形です。このクハ1720形はクハ1724が1984年に事故廃車され、写真のクハ1722は金名線の廃止で1986年に余剰廃車となりました。
（注3）クハ1720の車歴
・北鉄ｸﾊ1721←名鉄ｸ2344←名鉄ﾓ3355←名鉄ﾓ3611←名鉄ﾓ3605←名鉄ｸ2041←愛知ｻﾊ2041：1929年日本車輌製
