ローカル線の回顧録

1970年代後半から2000年頃までのローカル線の記録

第324話 1990年北陸(石川):ブサイク達の最後の活躍

1990年の秋も北陸地方ローカル線早回りを行いましたが、北陸鉄道石川線をパスするわけにはいきませんでした。

なぜなら、石川線大手私鉄のカルダン車導入に踏み切ることになり、間もなく在籍車両の一斉交換があるからです。とうとうブサイク車両達も見納めです。

 

1.モハ3732 (鶴来:1990年5月)

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 北陸鉄道は、金名線の加賀一の宮~白山下間を廃止して、ずいぶん身軽になったついでなのか、石川線車両の体質改善を図ることになり、この2カ月後の1990年7月から東急7000系を導入することになりました。しかし、上田交通の様に昇圧はせず、東急7000系を降圧して導入です。しかしながら、あの東急7000系に統一されてしまうとは、なんとも面白くありません。

 

2.モハ3752、モハ3732 (新西金沢:1990年5月)

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 この日はあいにくの雨となりました。

この写真は新西金沢の列車交換風景ですが、どちらの車両も相変わらず「福笑い」を失敗したような憎めないブサイク顔をしていました。

 

3.モハ3744 (新西金沢:1990年5月)

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 続いて、元名鉄クロスシート車であるモハ3744が来ました。この車両も前面窓がHゴム化されてあわやブサイクの洗礼を浴びそうになりましたが、とりあえずセーフでした。

 

4.モハ3732 (新西金沢:1990年5月)

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この顔を良しとする北陸鉄道のセンスが、何ともローカル的で好感が持てました。

しかし、これが東急7000系に置き替わってしまうと、ローカル私鉄的な改造車美学の継承もここまででした。

 

 

5.モハ3731+モハ3742 (鶴来:1990年5月)

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 続いて、鶴来車庫を訪問しました。ここで一挙に旧型車の撮影を行いましたが、土砂降りとなり参りました。

まずは、元祖石川線ブサイク車両のモハ3731です。15.5mの小型車ですが、製造当初はサハだったそうで、張り上げ屋根でシル・ヘッダー付きという往年の北鉄スタイルを維持していました。

 

6.モハ3731車内 (鶴来:1990年5月)

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 モハ3731は未更新だったので、車内は典型的な田舎電車でした。

よく見ると、室内灯は丸いグローブ付きです。荷物棚は網でもなくパイプでもなく木製です。小型車なのに運転席は半室になっています。ブレーキハンドルも好ましい形状です。しかし、床はロンリウムで、板張りではないのが残念です。

ところで、この訪問時には気が付きませんでしたが、写真をよく見るとどの車両もドアのステップを廃してドアの下端が床面と同じ高さに改造されています。恐らく東急7000系導入のためにホームのかさ上げを行い、その結果既存車のステップが逆段差にならないようにこのような改造を行ったものと思われます。非常に地味な改造ですが、全車に波及するため相当な手間と費用が掛かったはずです。東急7000系が導入されれば廃車となるのにもったいない話ではありますが、これも法規上の回避できない改造なので仕方ありません。大手私鉄の中古車導入は一見安上がりで合理的に見えますが、思いもよらぬ費用が結構かかったようです。