いつしか吊掛車を追い掛けるようになりました。しかし、1990年代になると吊掛車も急激に減少します。その吊掛車を求めて琴電や一畑、名鉄揖斐・谷汲線によく出向きましたが、意外にも富山地鉄には吊掛車が結構残っており、特に戦後の車両不足を補うため登場した運輸省規格型のパラダイスでした。
今回は、まだ京阪3000系が導入される前の、1990年の富山地鉄の話題です。
1.モハ14718+クハ18 (稲荷町:1990年5月)
富山地鉄には立派なカルダン車が多数存在していましたが、戦後に自社発注されたモハ14750形や、雑多な旧型車を淘汰するために名鉄から譲受したモハ14710形+クハ10形などがまだまだ活躍していました。
2.クハ13+モハ14713 (電鉄富山:1990年5月)
モハ14710形+クハ10形は元名鉄3800形+ク2800形です。1948年製の運輸省規格型電車で、飾り気のない画一化されたスタイルです。1968年~1969年に2連7編成が名鉄から導入され、一挙に雑多な旧型車が淘汰されました。当初は特急運用にも使用されたことから、7編成中4編成はクロスシート車でした。
3.クハ13+モハ14713 (稲荷町:1990年5月)
また、この車両は名鉄時代は貫通扉付きでしたが、富山地鉄入線後の1983年に非貫通化され、その際に前照灯の2灯化など、名鉄にはない顔つきになりました。
4.モハ14713+クハ13 (稲荷町:1990年5月)
モハ14713+クハ13はクロスシート車でした。
この当時、高速運転をする2扉クロスシートの吊掛車は、富山地鉄以外に一畑電鉄、名古屋鉄道、福井鉄道、北陸鉄道、大井川鉄道、東武鉄道くらいだったでしょうか。
5.クハ12+モハ14712 (越中三郷:1990年5月)
クハ12+モハ14712 はロングシート車でした。富山地鉄は観光路線なので、クロスシートの割合が高く、意外にもオール・ロングシートは吊掛車だけでした。
6.モハ14751+モハ14753 (稲荷町:1990年5月)
モハ14750形もロングシートの吊掛車ですが、こちらは富山地鉄オリジナルの両運車です。この車両も1948年製の運輸省規格型電車で、当初はモハ1500形、クハ1050形でしたが、クハを電装化した時に改番を行い、4両のモハ14750形になりました。
7.モハ14753+モハ14751 (稲荷町:1990年5月)
また、この車両は元々ドア間クロスシート車でしたがロングシート化され、クハ160形と編成を組んだ時期には片妻を貫通化し、その後再度非貫通化(モハ14753を除く)されるなど、めまぐるしく改造を受けています。