関東鉄道常総線は元国鉄キハ35系を大量導入し、1990年に元国鉄の機械式気動車を前身とする旧型車などを一斉に淘汰しました。これにより、一気に興味もなくなってしまいましたが、その時に残された常総筑波鉄道の発注車である、キハ500形、キハ800形のその後が気になり、1993年1月に久々の水海道に出向きました。
1.旧水海道機関区跡 (水海道:1993年1月)
ところが、水海道に着いてビックリ! 水海道機関区がすっかりなくなっていました。
渋い木造事務所も溜池状態の転車台も、もう過去の話しです。旧型気動車の終焉は、水海道機関区の終焉でもありました。もうまもなく、レールも剥がされて完全に更地になってしまいそうです。
2.キハ502+キハ501 (水海道:1993年1月)
そして、機関区と共にキハ501とキハ502も最後を迎えました。
前回訪問から、1年半のブランクでしたが、その間の廃車はこのキハ500形2両と、キハ302、キハ3010でした。
キハ302、3010は正確には、この時点ではまだ廃車になっていませんでしたが、事故車だったので警察の調査物件になっていたようで、正式な廃車はこの翌月でした。キハ302,3010は、まだ導入して新しい車両ですが、この2両は1992年にブレーキ故障で取手駅に突っ込んだ事故車でした。この事故は死亡者も出た大きな事故でした。この頃は事故車となった元国鉄キハ35系の更なる増備の最中でしたが、結局購入した元国鉄キハ35系は最後まで再生改造を受けて、キハ300形、キハ350形として竣工しました。しかし、この事故をきっかけに、早々とキハ300形、キハ350形の置き換えが具体化しました。
3.元JRキハ35158+元JRキハ3581 (水海道:1993年1月)
水海道には、また新たにJR相模線から転じてきたキハ35系がいました。
この車両は、後ろの元キハ3581がラストの改造車となり、キハ3523としてこの年の8月に竣工しましたが、手前の元キハ35158は未入籍に終わりました。
最終的に、元国鉄キハ35系を種車として導入されたのは、キハ300形は16両、キハ350形は23両でした。大きな事故がありましたが、元国鉄キハ35系という大量生産された車両の大規模な使い回しにより、常総線は生まれ変わりました。その背景には、今は亡き国鉄が如何にデカイ存在だったかを思い知らされました。
4.モーターカー (水海道:1993年1月)
そして、水海道構内にはTMCが取り残されていました。この車両も水海道機関区と共に去りました。この車両の素性が良くわかりませんが、国鉄のどこかの保線区からここに流れ着いたのでしょうか、旋回窓付きの雪国仕様の様です。
5.キハ502 (水海道:1993年1月)
とうとうキハ500形も終わりを迎えました。
日車の私鉄向け標準気動車として華々しくデビューしましたが、通勤路線として飛躍した常総線では肩身が狭い存在でした。
6.キハ501 (水海道:1993年1月)
しかし、1990年の旧型車一斉淘汰では、キハ500形は廃車を免れたことを思うと、やはり関東鉄道は、この車両に思い入れがあったからと思われます。
7.キハ502+キハ501 (水海道:1993年1月)
私は、このキハ500形はデザイン的にも素晴らしい車両だと思います。残念ながら、2両とも解体されましたが、1両くらい保存されても良かったのではないかと、今でも思っています。