ローカル線の回顧録

1970年代後半から2000年頃までのローカル線の記録

第1072話 1986年太平洋炭鉱:霧の釧路

太平洋炭鉱の話題は、第150話~第152話、第317話~第320話でお伝えしましたが、画像が少し残っていましたので追加でお伝えします。これは1986年8月に学生時代最後の夏休みを利用して渡道した際に撮影したものです。この撮影旅行では三菱石炭鉱業鉄道や廃止対象となった最果ての国鉄ローカル線の再訪問がメインでした。しかし、釧路で宿泊のついでに春採坑へ出向きました。

 

1.162号の牽引する空車列車 (春採鉱業所~春採選炭場:1986年8月)

やはり釧路まで来て、これを見ないで帰るわけにはいきません。8月は季節がら、釧路は霧に包まれており、湿っぽくスッキリしませんでしたが、春採電車線の運炭列車は元気に走っていました。

 

2.162号の牽引する積車列車 (春採選炭場~春採鉱業所:1986年8月)

春採電車線は、この2年前に昇圧して、それまで主力だった「釧路のひと口羊羹」こと、東芝製凸型8t機を淘汰して、スマートなニチユ製凸型16t機を導入しました。これにより輸送効率のアップと合理化が達成されましたが、この路線が釧路の新興住宅街を走るため、騒音問題など大きな課題が残っていました。

 

3.162号の牽引する空車列車 (春採鉱業所~春採選炭場:1986年8月)

霧の中を長大な運炭列車がやって来ました。これは春採坑に戻る空車列車ですが、ガチャガチャと音を立てて非常に賑やかでした。まあ、たまに来て見るのは楽しいですが、やはり閑静な住宅街には迷惑な存在なのかも知れません。もともとは春採電車線の方が先に出来たはずなのに、可哀そうにも思えます。

 

4.162号の牽引する空車列車 (春採鉱業所~春採選炭場:1986年8月)

選炭場のループで撮影すると、春採の住宅街が一望できました。釧路にもこんな住宅街があったとは驚きです。

 

5.162号の牽引する空車列車 (春採選炭場付近:1986年8月)

この頃の太平洋炭鉱は、まだまだ増産体制だったのか、もうこれ以上の運搬は限界のようでした。

 

6.161号の牽引する空車列車 (春採選炭場付近:1986年8月)

そうなると、ベルトコンベアー化の話しも出て来そうですが、心配は的中しました。春採電車線はこの3年後に廃止となり、ベルトコンベアーに変わりました。

 

7.162号の牽引する積車列車 (春採鉱業所~春採選炭場:1986年8月)

このニチユ製の機関車は、わずか4年でお役御免となりました。まだ新しい機関車なので大変勿体ないですが、他に転用できる路線もありません。軌間610㎜の超ナローのELですが、やはりデカいので保存も厳しい!