ローカル線の回顧録

1970年代後半から2000年頃までのローカル線の記録

第1124話 1994年宇部炭鉱:炭鉱の街だった宇部!

小野田線のクモハ42形を撮影して帰る途中、そう言えば昔、宇部は炭鉱の街だったことを思い出しました。まだ昼前だったので、観光案内所に駆け込み、何か遺構が残っていないか聞いたところ、石炭記念館なるものが存在することがわかり、早速行ってみました。

 

1.宇部石炭記念館のパンフと常盤公園入園券

その石炭記念館は、宇部線常盤駅の近くにある常盤公園内に存在しました。何やら竪坑を移設した展望台がそびえる立派な資料館風ですが、入館するにはまず、常盤公園の入園料が必要でした。常盤公園は宇部市民の憩の場所の様で、規模もバカでかく、広大な常盤湖には白鳥が多数飼われており、その飼育費のためなのか入園料が450円もしました。石炭記念館を見る事だけが目的でしたが、450円はかなり高額だったので驚きました。ちなみに他の同類の資料館の入館料は、直方市石炭記念館が80円、田川市石炭資料館が210円でした。(どういうわけか、現在の常盤公園は入園無料になったそうです。)

 

2.宇部石炭記念館保存車(DL+鉱車) (宇部市常盤公園:1994年7月)

・・・・で、450円の成果がこれです。陽の向きがトップライトで植木の影が被ってしまい最悪ですが、これが宇部炭鉱を物語る、ここの一押し展示品です。しかし、このDLの素性がわかる説明はなく、製造銘板も標記もありません。とてもいい加減です。

 

3.宇部石炭記念館保存車(DL) (宇部市常盤公園:1994年7月)

パンフによれば、この機関車は、宇部興産山陽無煙鉱業所の水平坑道で使用されたDLとのことです。石炭記念館内にも、もう1台同型のDLがあり、それから類推するとこのDLは昭和30年頃の日立製6t級DLの様です。九州の田川石炭資料館にもほぼ同型のDLが保存されています。

 

4.宇部石炭記念館保存車(DL) (宇部市常盤公園:1994年7月)

館内に展示されているもう1台の方は、大丈夫と思いますが、屋外展示のこれらの車両はその後どうなったのか心配です。

 

5.宇部石炭記念館保存車(DL+鉱車) (宇部市常盤公園:1994年7月)

この他にも、周辺の炭鉱で使用されていた機材なども展示されていましたが、トロッコ関係の展示はこの程度です。直方や田川に比べて至って淡白です。

 

6.宇部石炭記念館保存車(鉱車) (宇部市常盤公園:1994年7月)

DLには、どこの炭鉱でもよく見かけた2t積鉱車がつながれていました。パンフの説明では、DLは水平坑道内を鉱車20両を牽引したと記載されています。

 

7.宇部石炭記念館保存車(人車) (宇部市常盤公園:1994年7月)

これは、水平坑道用の人車です。腰掛の座面が朽ちてなくなっていました。炭鉱の資料館は各地に存在しますが、坑内用の機関車や人車、鉱車などのいわゆるトロッコは展示品として手頃なのか、結構保存されている様です。しかし、露天の展示は、多くの鉄道車両の保存で失敗を見てきましたが、この様な炭鉱の展示機材も一緒です。幸い、これらの炭鉱機材の保存は公的な補助?(税金)で救わているようですが、最近では町が破綻するような世の中です。安心はできません。

さて、入園料の450円は石炭記念館の入館料というよりも、広大な常盤公園の維持管理費のためと解釈し、本来であれば常盤公園を満喫してモトを取りたいところでしたが、常盤公園は一切見ずに撤収です。なぜそんなに急ぐのか、それは次の「お宝を」見に行くためでした。それは別途お伝えします。