ローカル線の回顧録

1970年代後半から2000年頃までのローカル線の記録

第1127話 1996年京阪(京津):80形がいた頃(その3)

今回は京津線の廃止となる区間の、蹴上から九条山の様子です。蹴上から山科方面は九条山を越えるため専用軌道の勾配区間となります。

 

1.92+91 (蹴上:1996年12月)

ここは蹴上の電停です。これから九条山の峠越えをする92+91が停車中です。12月なのでもう観光シーズンではありませんが、ここは南禅寺や琵琶湖疎水のインクライン跡が近くにあるので観光客らしき人も多いですが、学校もあるので時間帯によっては学生がホームから溢れていました。

 

2.84+83 (蹴上:1996年12月)

2両連結では輸送力の限界を感じましたが、この区間を80形の各停に乗務する車掌さんはさぞ大変だったと思います。わずか2両編成ですがこの併用軌道区間の電停では全てのドアが開閉し、客扱いどころではなかったと思います。

 

3.610+609 (蹴上:1996年12月)

一方、準急は電停を通過するので楽勝ですが、渋滞にはまると、電停で客扱いが出来ないので、お客さんは冷ややかでした。

 

4.84+83 (蹴上:1996年12月)

併用軌道区間の撮影は、自動車が被らない様に毎回ヒヤヒヤでした。この日はそれほど道路の渋滞がなかったのでマシでしたが、渋滞にはまるとまともな撮影ができません。

 

5.92+91 (蹴上:1996年12月)

現在、京津線の廃止区間には、京都市東西線の東山三条、蹴上、御陵に駅があります。京津線時代は80形の各停しか停車しない不便な電停でしたが、いずれも立派な駅になり、地下鉄なので京津線時代の面影は全くありません。

 

6.616+615 (日ノ岡~九条山:1996年12月)

ここは九条山のピークを越えて山科方面へ下る専用軌道区間です。この区間は最大勾配が66.7‰もありました。箱根登山鉄道の80‰には及びませんが、かの信越碓氷峠と奇しくも同じ勾配です。こちらは普通の通勤路線ですが、やはりここを走る車両はそれなりに足回りがしっかりした車両でなければならず、歴代の車両も電制を完備していましたが、80形以降は回生ブレーキも備わりました。

 

7.92+91 (日ノ岡~九条山:1996年12月)

ちなみに並行する東海道線は九条山をトンネルで抜けます。新規開業の京都市東西線は地下鉄ですが、これもこの区間はトンネルです。蹴上~御陵間には九条山と日ノ岡の2電停がありましたが、東西線にはこの2電停に相当する駅はありません。

さて、京津線はローカル線ではありませんが、この廃止となる区間を見届けるために、その後も何度か撮影に出向きました。しかし、吊掛車の260形や350形が残る石山坂本線の方をすっかり失念してしまい、そちらの記録がありません。