南部縦貫鉄道の魅力は、小さなレースバスが走る牧歌的な光景。そして幻想的でメルヘンチックな世界観でした。
しかしながら、現実はそんな甘いものではありません。国策に翻弄され開業時から経営はさんざんな状況で、お伽の国のレールバスは常に火の車だったはず。メルヘンの現実は淡いパステルカラーではなく、真っ赤な赤字の世界でした。
さて、今回は赤字を現実逃避してしまうほどメルヘンチックな南部縦貫鉄道の話題です。
1.キハ102 (七戸:1989年5月)
今回の南部縦貫鉄道訪問は、1989年のGWに行った東北地方ローカル私鉄早回りの途上でした。すでに報告済ですが、日鉄尻屋鉱業所→弘南鉄道→津軽鉄道→小坂鉄道を巡って辿り着いたのは、七戸にあった、あの五右衛門風呂の白鳥旅館でした。
前年に続き、2回目の宿泊ですが、この時は旅館のご家族と一緒に夕飯を頂き、観光旅行かと尋ねられて、南部縦貫の写真を撮りに来たと話すと、なぜか皆さん不思議そうでした。
この日も勝手知ったる五右衛門風呂に浸かり、屋根裏部屋に泊まり、座敷童にも会うことなく、翌朝は5時に宿を出発しました。
2.キハ102 (七戸:1989年5月)
ところが、翌朝は昨年に続き強烈な濃霧。これでは撮影にならないと、投げやりに撮影したのが今回の一連の写真ですが、出来上がって見ると、なんともメルヘンチックな仕上がりでした。
写真の1,2は、出庫したレールバスの転線中の様子です。
3.キハ102 (森田牧場前~七戸:1989年5月)
6:00発野辺地行の一番列車を、構内の外れで待ち構えました。
朝霧の中、自動車のクラクションのような警笛とともに、赤い車体が現れました。
4.キハ102 (森田牧場前~七戸:1989年5月)
思わず連写!! レールバスは2軸車特有の軽快なジョイント音とともに通過して行きました。
5.キハ102 (七戸~森田牧場前:1989年5月)
そして、再び霧の中に消えて行きました。
さて、次はレールバスを追い掛けて森田牧場方面に移動です。
6.キハ102 (森田牧場前~営農大学前:1989年5月)
今度は、折返しの七戸行きを、森田牧場前~営農大学前間の直線区間で狙いました。多少霧が晴れてきたので、200㎜のズームで縦位置撮影です。毎度の、息を止めて仁王立ちのハンドドライブ(手巻き)で連写です。ピントが甘いのは霧のせいか?・・・何枚も連写しましたが、まともだったのは、この1枚だけでした。