ローカル線の回顧録

1970年代後半から2000年頃までのローカル線の記録

第510話 番外編:NDC考察(その11)

NDCは、ローカル線向けに開発された安価な気動車ですが、転じて一般型気動車にもその発想が展開されました。ある意味では当然のことですが、その代表例が関東鉄道常総線に1993年から導入されたキハ2100形でした。

当ブログでは、関東鉄道常総線の古い車両をことごとく皮肉っておりますが、直近の第453話の頃でも、まだまだ旧態然とした雑多車両が大活躍していた頃で、とてもこんな新車が投入されるとは夢にも思っていませんでした。

キハ2100形はNDCではありませんが、NDCの変遷のなかで波及した系列として今回話題にあげます。

 

1.関東鉄道キハ2100

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 ところで、キハ2100形は通勤路線である常総線向けに新規設計された気動車です。ローカル線用などと言ったら怒られてしまいます。当時このクラスの通勤形気動車をJRで例えると、JR東日本キハ38形あたりに相当しますが、キハ38形も所詮ローカル線用であり、ちょっと設計コンセプトが異なるようです。

関東鉄道は、今後の増備を踏まえて、久々に導入した本物の新車なので相当気合が入っていましたが、やはり「長いものには巻かれろ」と申しますか、新潟鐵工主導の設計だったので、各所にNDCが露見されます。

 

2.関東鉄道キハ2100形カタログの抜粋

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キハ2100形の顔は、モロNDCです。久々の新車なのにがっかりですが、この顔はライトの位置が変わりましたが、いまだに常総線の新車に踏襲され続けており、いつしかNDCの顔から関東鉄道の顔になったようです。

 

3.関東鉄道キハ2100形カタログの抜粋

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車体は常総線の標準である20m3ドア車です。年代的にはそろそろSUS車両が増えてきた頃ですが手堅く鋼製です。そして注目は床面高さです。当時のNDCは一部を除いてほとんどが1240㎜でしたが、 キハ2100形は1140㎜でフラットなノンステップとなりました。床面が100㎜も低くなり、ホームとの段差も減り、一応都会の電車に近づきました。

 

4.一般NDCとの台枠高さの比較

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御覧のように、左側の関東鉄道の車両は、右側の一般NDCに比べて台枠の低いことが一目瞭然です。 

 

5.関東鉄道キハ2100形カタログの抜粋

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車内は、それまでの新車と言われた0形が、私鉄版103系と言われた内装でしたが、  キハ2100形は床面フラットでさらに電車に近づき、当時の205系並となり、まずは、取手から出ている汚れたディーゼルカーのイメージを払拭出来たと思われ、ようやく常磐線の電車とバランスが取れました。

 

6.関東鉄道キハ2100形カタログの抜粋

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キハ2100は性能的にもNDCを踏襲しています。エンジン出力は330PS、台車はボルスタレスのNP128です。車両長20mで自重31.5tなので鋼製車としてはまずまずの軽量車です。同クラスのJR東日本のキハ110系はエンジン出力が420PSなので、性能的にやや劣る感じですが、常総線は比較的平坦路線なので問題ないようです。

 

7.関東鉄道キハ2000形カタログの抜粋

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キハ2100形に続き、両運車のキハ2000形が登場しましたが、これは常総線向けではなく、関東鉄道ガラパゴス的存在である竜ケ崎線用に新製された車両でした。一見、キハ2100形を単純に両運転台化しただけの車両に見えますが、良く見ると変な車両です。運転席が同じ側に配置されて、乗務員室扉が運転席の反対側にはありません。この変則的な設計もガラパゴスの進化に合わせたもので、わずか2両ですが他には展開されることはない、竜ケ崎線オンリーのバージョンです。 

 

8.関東鉄道キハ2200形カタログの抜粋

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そして、常総線用の両運車であるキハ2200形は、キハ2100形に遅れること4年目の1997年に登場します。この車両は水海道以北の閑散区間用に導入された車両で、ワンマン運転のため、料金の授受を考慮して、運転室後部の側扉を片引きとし、運転席に寄せた配置となりました。なんだか、それまでの旧態然とした気動車が受けた関東流の通勤車化洗礼を自ら浴びたような形態ですが、これが3ドア両運ワンマンカーの基本となり、以降の車両にも展開されました。

その後、関東鉄道ではキハ2100形、2200形の後継車へと移行して現在に至ります。